U―23アジア杯決勝へ、無得点の背番号10佐藤恵允「結果で見返したい」
ウズベキスタン戦に向け練習する佐藤(中央)(1日)=松本拓也撮影
【ドーハ=林田晴樹】サッカー男子のパリ五輪最終予選を兼ねたU―23(23歳以下)アジア杯で、8大会連続の五輪出場を決めた日本は3日午後6時30分(日本時間4日午前0時30分)からウズベキスタンとの決勝に臨む。ここまで無得点のFW佐藤恵允(けいん)(22)(ブレーメン)は決勝に向け、強い覚悟をにじませる。
五輪切符をつかんだイラク戦後、佐藤は開口一番、「うれしいです。単純に」。ムードメーカーのシンプルな言葉に、安堵(あんど)と悔しさが交錯する複雑な心境がのぞいた。
佐藤は負けたら終わりの準々決勝、カタール戦に先発で送り出されるなど全5試合に出場。何度か惜しいシュートがあったものの、期待されたゴールをここまでは挙げることができていない。1次リーグでは攻撃陣が振るわず、ネガティブな声の矢面にも立たされた。
思い起こされるのが、2016年リオデジャネイロ五輪のアジア最終予選だ。「当時も世間からあんまりいいイメージを持たれていなかったと思う。自分たちもそういう声を感じている」。反骨心を原動力に勝ち上がったチーム状況を、8年前のチームと重ね合わせずにはいられなかった。
当時の韓国との決勝。それまで無得点だった浅野拓磨の2得点で、「勝てない世代」とやゆされたチームは6戦全勝で優勝を飾った。浅野は五輪でもゴールを挙げ、その後の飛躍につなげた。佐藤は「もちろんそうなりたいけど、優勝するために自分はやるだけ。結果で見返したい」と固く誓う。
昨夏に明大からJリーグを経ずにドイツへ渡り、持ち前の突破力や前線からの果敢な守備に磨きをかけてきた。今後、五輪本番のメンバー争いも激しくなるが、「自分にしかできないことを示せれば枠に入れる。生き残りを懸ける意味でも(決勝は)大きな試合になる」。日本の背番号10がこのまま、終わるわけにはいかない。