NHK大河「光る君へ」道隆死す…関白後継めぐり平安の嫁姑バトル勃発 第18回みどころ
2人の兄の死によって運命が動き出す藤原道長(柄本佑)
女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)の第18回「岐路」が5日に放送される。
大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。21日に放送された第17回「うつろい」では、ここまで権勢をふるってきた関白・道隆(井浦新)の病が進行し、跡目をめぐっての戦いが静かに始まる様子が描かれた。
中宮・定子(高畑充希)は兄の伊周(三浦翔平)が関白に準ずる内覧の職につけるよう一条天皇(塩野瑛久)に働きかけようとし、帝の母・詮子(吉田羊)は対照的に道兼(玉置玲央)を推す。「ほかの公卿を取り込んでおくわ。公卿はみんな伊周が嫌いだから」としたたかに言い放つ詮子に、道兼も道長(柄本佑)も「お~」と嘆息。父・兼家(段田安則)譲りの政局を読む力がおそろしい。ここまで華やかで麗しいキャラクターを一手に担ってきた定子さまも覚醒し、いにしえの嫁姑バトルがいよいよ加速する。
飲水の病(現代における糖尿病)が進行し、破滅的になっていく道隆。弟・道兼には「中宮さまや伊周に酷なことはしないでくれ」と懇願し、定子には「皇子を産め」と呪いのように迫る。さっと御簾(みす)を降ろす清少納言(ファーストサマーウイカ)の配慮も細かい。第17回のラスト、愛妻・貴子(板谷由夏)にみとられながら人生に幕を下ろした道隆は、風雅をたしなむ本来のおっとりした家族思いの男に戻っていた。儀同三司母こと貴子が詠んだ百人一首54番「忘れじの行く末までは難(かた)ければ 今日を限りの命ともがな」は、すさまじいアイラブユーの歌であるなあと、あらためて実感する。
まひろ(吉高由里子)は石山寺で傷つけてしまった友人・さわ(野村麻純)からの訪問を受け和解。さわはまひろからの文をすべて書き写していたことを告白し「まひろ様の文を写すことで、まひろ様に追いつきたいと思っておりました」と真意を明かす。第2回で代筆仕事を請け負っていたまひろは、文字に人の心が宿ることを本能で知っている。「何を書きたいのかは分からない。けれど筆を執らずにはいられない」。写本によって一大ベストセラーとなった「源氏物語」。未来のまひろが執筆を決意するまでのパズルのピースがひとつずつ埋まっていく。
第18回は道隆の没後に訪れた内裏の混乱が描かれる。一条天皇が次の関白に命じたのは道兼(玉置玲央)だったが、道兼は関白就任の日に倒れ、7日後にこの世を去る。清少納言の訪問を受けたまひろは、次の関白を争う筆頭が伊周と道長だと聞き、その夜に2人の思い出の場所へ行くと…というドラマが展開されていく。
道兼のいわゆる「七日関白」であるが、道兼と道長の関係性が丁寧に描かれているのでぜひ見てもらいたい。また、史実にお詳しい方は、中関白家にこのあと起こるであろう“アレ”がそろそろ脳裏をかすめ始めたところではないだろうか。砂時計の砂が落ちていくように、カウントダウンは着々と進んでいる。(NHK担当・宮路美穂)