80年ぶり発見「光るカタツムリ」、国際軟体動物オブ・ザ・イヤー大賞…採取した中部大教授「仕組み解き明かしたい」
発光するカタツムリ(大場教授提供)
愛知県の中部大応用生物学部の大場裕一教授(発光生物学)らの研究チームがタイで発見した「光るカタツムリ」が、国際軟体動物オブ・ザ・イヤー・コンテスト2024の大賞に選ばれた。発光するカタツムリの発見は80年ぶりだった。
コンテストは、軟体動物の多様性と保護の大切さについて認識を高めるため、独ゼンケンベルグ自然史博物館などが2021年に共同で設けた。今回は最終選考に残った生物について3~4月にオンラインの一般投票があり、光るカタツムリが投票総数の過半数の約3300票を獲得した。
光るカタツムリを発見したのは、大場教授や大学院生の水野雅玖さん、タイのチュラロンコン大の教授ら。2020年からタイの各地で採取した様々なカタツムリを調べ、足や体を覆う膜の一部などが光る5種を見つけた。
これまで発光するカタツムリは、1943年にシンガポールで発見されたヒカリマイマイ属の1種とされていた。5種のうち1種はヒカリマイマイ属、そのほかの4種は発光することが知られていなかったプファニア属で、ヒカリマイマイ属とは光り方が異なるという。
発光する理由は明らかになっていないが、大場教授によると、敵から身を守るためではないかと推測されるという。発見の成果は科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に掲載された。
大場教授らは、発光のメカニズムや進化の過程の解明を目指し、国内外の発光生物を調査する活動を続けている。
今回の受賞により、主催者に名を連ねる国際研究機関が、光るカタツムリを対象にゲノム解析を進める予定だ。大場教授は「発光の不思議や美しさに注目が集まり、とても喜ばしい。節足動物に比べ、軟体生物の多様性は十分には解明されていない。ゲノム解析などを通じ、発光の仕組みの謎をさらに解き明かしていきたい」と話している。