2024年問題の影響「出る」「出ない」が4割ずつ 荷待ち削減など対策進む 主要企業アンケート
2024年問題の影響「出る」「出ない」が4割ずつ 荷待ち削減など対策進む 主要企業アンケート
産経新聞は主要企業を対象に4月上旬~下旬にアンケートを実施し、110社から回答を得た。4月からのトラック運転手への時間外労働の上限規制導入によって、人手不足の深刻化が懸念される「2024年問題」-。規制導入後の初となる今回の調査では、自社の物流に「影響が出た」と回答した企業は計45%となる一方、「あまり影響が出なかった」企業も42%に上り、拮抗する結果となった。各社が対策に注力したことで、当初の想定より影響を抑えられた結果になった。
前回12月の調査では物流への影響が「大きく出る」と予想する回答が9・6%、「一定程度出る」が48・2%、「あまり影響が出ない」が22・8%だった。
それが今回の調査では影響が「大きく出た」と回答した企業は3%にとどまり、「一定程度出た」が26%、「少し出た」が16%。規制導入前は人手不足による物流停滞に身構えていたが、ふたを開けてみれば、「あまり影響が出なかった」という回答が前回調査の2倍近くになった。
背景には、各社が取り組んだ対応策が奏功していることがある。2024年問題への対応で始めた取り組みを聞いたところ(複数回答可)、トラック運転手の荷待ち・荷役削減が41%と最も多く、鉄道や船舶利用などのモーダルシフト36%▽物流会社への運賃引き上げ35%▽機械化・デジタル化など物流DX34%▽他社との共同配送28%▽余裕のある納期設定25%-と続いた。
2024年問題への対応を巡っては、政府も運転手の荷待ち時間削減義務化などを盛り込んだ物流関連法の改正案を今国会で成立させており、企業の対応にもドライブがかかっている。アンケートで用意した回答以外にも「拠点集約による高効率な集配の実現」(運輸・郵便業)、「配達頻度・ロットの見直しによる物流効率化」(宿泊・飲食サービス業)、「トラック輸送の積載効率改善」(製造業)など、多様な回答が寄せられた。
一方、2024年問題で「影響が出た」と回答した企業について、具体的な影響を聞いたところ(複数回答可)、「法令順守のための対策コスト増加」が42%とトップで「物流コスト増加による業績悪化」が36%、「稼働率低下による納期見直し」が18%となった。(万福博之)