篠田麻里子の激しすぎる演技が話題に…今期ドラマでも注目される「やばい夫婦」を描いた漫画たち
アクションコミックス『極限夫婦』 第1巻(双葉社)
昔から「人の不幸は蜜の味」とも言われ、とくに夫婦間の争いはワイドショーを賑わせる定番ネタだった。しかし近年ではプライバシーの観点から、あまり有名人の離婚などの家庭問題を追及することは減っているようにも見える。
その代わりではないが、濃厚な人間関係やトラブルをたっぷり描いた“やばい夫婦”のドラマや漫画が人気だ。いずれの作品も配偶者の不倫が原因でトラブルになり、離婚までの経緯をドロドロとした展開で描いている。今回は、そんな今期ドラマでも注目されている「やばい夫婦」の作品を3つ紹介しよう。
■最低最悪のクズ夫を緻密な計画で成敗! 『極限夫婦』
原作:きづきあきらさん、サトウナンキさんによる『極限夫婦』は、夫の不倫やモラハラをテーマにした作品だ。弱い立場にある妻の復讐劇が、複数の夫婦を通してオムニバス形式で描かれている。
『月刊アクション』(双葉社)で21年に連載開始後、数多くの漫画配信サイトで配信されており、夫から虐げられる妻の復讐劇を広告などで目にした人もいるだろう。1月から関西ローカルテレビで、松村沙友理さん、竹財輝之助さん、岡本玲さん、桐山漣さん、北乃きいさん、平岡祐太さん主演でドラマ化されている人気作だ。
この作品のヤバさは、夫が笑ってしまうほどクズなことだ。Season 01に登場する夫の船越高弘は、妻の家事を毎日チェックしてはダメ出しし、妻の行動を縛り付けたあげくに自分は浮気をしている最低男だ。しかも浮気がバレたあとは平気で逆切れし、「離婚するなら俺に慰謝料を払え」という始末。昭和でいう悪代官のようなクズ夫を、妻である桃子がどう復讐していくかが気になってしょうがない。
現実には浮気をした夫と離婚をしても多少の慰謝料がもらえるくらいで、それほどスッキリすることはないとも聞く。しかも離婚後は女性のほうが経済的にさらに苦労するという話も多い。
しかし『極限夫婦』の場合、ただ離婚して慰謝料をもらうだけでは終わらない。妻の緻密な離婚計画の裏には、夫には地獄のお仕置きがバッチリ待っているうえ、今後の人生計画についてもしっかり練られている。
人は誰もが「憎いあの人に制裁を」と考えることもあるだろう。『極限夫婦』には、そんな願いを叶えてくれるような、待ちに待った展開が待っている。
■日本の離婚制度に一石を投じる話題作『離婚しない男』
大竹玲二さんの『離婚しない男』は、『ヤンマガWeb』(講談社)で連載されたブラックコメディである。ドラマはテレビ朝日系列で伊藤淳史さん主演により放送されている。
主人公の社会部のエース記者である岡谷渉は、出世街道を捨て、家事育児に生きる道を選んだ男。世間的には娘を愛するイクメンパパに見えるが、実はその行動の裏には浮気を繰り返す妻への計画があった。
この作品のヤバさは、あまりにも性に奔放な妻の存在と日本の離婚制度にある。妻の綾香は芸能事務所のマネージャー、マサトと浮気をしており、渉が家にいない間に堂々とマサトを家にあげ逢瀬を繰り返すなど、悪びれることなく浮気をしている。2人が激しく愛し合う描写は漫画でもたくさん出てくるのだが、篠田麻里子さんが演じる綾香も“過激すぎる振り切った演技”が話題だ。
そして、本作は日本の離婚制度にも一石を投じている。日本の場合、たとえ妻が不倫をして100%悪くても「母性優先の原則」といった観点から、離婚後に親権を持つのは母親が9割だという。
『離婚しない男』はそんな日本の離婚制度に疑問を持ち、どうやったら自分が親権を握れるのかと、渉が努力していくストーリーである。サレ妻ならぬサレ夫の涙ぐましい努力が報われる日は来るのか、目が離せない。
■人間の幸福要素を奪う復讐がヤバい…『夫を社会的に抹殺する5つの方法』
原作:三田たたみさん、作画:アップクロスによる『夫を社会的に抹殺する5つの方法』は、ウェブ漫画制作スタジオ「GIGATOON Studio」が制作した縦読み漫画だ。2023年1月には馬場ふみかさん主演でSeason1がドラマ化され、2024年からは高梨臨さん主演でSeason2が放送されている。
本作はいずれも主人公の妻が、夫から毎日のように受ける浮気やモラハラなどに対峙していくストーリーだ。しかし単に妻が奮闘するのではなく、WEB上に現れる謎の“仮面さん”の指示に従い、憎い夫を追い詰めていくのが特徴だ。
本作のヤバさは、この“仮面さん”による指示の復讐劇にある。よくある妻の復讐と言えば、夫の浮気を会社にばらして社会的制裁を与えるといったことだろう。しかし本作の場合は“人間の5つの幸福要素を奪うこと”をテーマにしており、これ以上ない赤っ恥を夫にかかせるなど、復讐方法がとんがっている。
たとえばSeason1では夫に薬を使って便意をもよおさせ、人前で粗相をさせるといった、びっくりするような復讐シーンなども登場する。もはや夫のプライドは粉々だ。
また、本作ではそもそも“仮面さん”がいったい誰なのかという疑問もある。妻と同じく夫を憎む人物なのか、それとも何かほかに計画があるのか。単にモラハラ夫を追い詰める妻の復讐劇だけでなく、ミステリー要素があるのにも注目だ。
配偶者のモラハラや浮気、親権をめぐるトラブルは、当事者になったら本当に大変だろう。しかし漫画やドラマなら傍観者になって楽しめるので、こうした「やばい夫婦」作品は安心して読める。クズすぎる夫や妻への仕返しにドキドキとスリルを感じ、ちょっとした日頃のストレス解消にもなるだろう。
今日紹介した作品はいずれも漫画配信サイトから気軽に読むことができるので、気になる人はぜひチェックしてほしい。