生成AIの偽情報規制「必要」89%、世論誘導「不安」86%…読売世論調査
(写真:読売新聞)
読売新聞社は3~4月に生成AI(人工知能)に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。生成AIによる偽情報について、政府が法律で規制する必要があると「思う」と答えた人は89%に上った。生成AIで偽情報の作成が容易になり、世論が誘導される不安を「感じる」とした人は86%で、多くの人が社会の混乱を招く恐れがある偽情報への厳しい対策を求めていることがうかがえる。
偽情報が、有権者の投票行動にどのくらい影響を与えると思うかを聞いたところ、「大いに」(28%)と「多少は」(61%)を合わせて、「影響を与える」と回答した人は89%だった。
SNSやインターネット上では生成AIを使った本人そっくりの偽画像や偽動画が出回り、問題となっている。岸田首相の偽動画が、SNS上で拡散したこともあった。政治家らの偽動画などが選挙前に出回れば、投票行動が左右され、民主主義に深刻な影響を与える可能性がある。
生成AIの利用や普及で不安に思うこと(複数回答)では、「犯罪に悪用される」が65%と最多で、「誤った情報が意図せず広まる」が63%、「偽の情報が拡散する」が60%、「思考力や判断力が低下する」が50%と続いた。詐欺や危険物の作成などの犯罪に生成AIが悪用されないよう、何らかの対策を講じる必要があると「思う」との回答は96%に上った。
生成AIに関し、日本の著作権法は、著作権者の利益を不当に害する場合を除いて、AIが許可なく著作物を機械学習することを認めている。調査では、著作物を無断で使用しないように、著作権法を改正する必要があると「思う」は82%で、現状の法規制では不十分との認識が大半を占めた。
生成AIを使わない方がよいと思う分野を複数回答で尋ねると、最も多かったのは「報道」で36%。「選挙」と「安全保障・防衛」各33%、「司法」、「子育て」、「文化・芸術」が各31%などと続いた。
生成AIの利用や普及で期待すること(複数回答)については、「仕事の効率化が進む」が53%で最も多く、次いで「人手不足の解消につながる」が45%、「コストの削減につながる」と「人間によるミスが減少する」が各35%などだった。
調査は3月12日~4月18日、全国の有権者3000人を対象に実施し、2002人から回答を得た(回答率67%)。