日米豪比、中国名指し「深刻な懸念」…東・南シナ海で強引な海洋進出に共同文書
共同記者会見に臨む(左から)オースティン米国防長官、マールス豪国防相、木原防衛相、テオドロ比国防相(2日午後、インド太平洋軍司令部で)=上村健太撮影
【ホノルル(米ハワイ州)=上村健太、田島大志】木原防衛相は2日(日本時間3日)、米国のオースティン国防長官、オーストラリアのリチャード・マールス国防相、フィリピンのギルベルト・テオドロ国防相とハワイの米インド太平洋軍司令部で会談した。4氏は会談後、東・南シナ海で強引な海洋進出を続ける中国を名指しして、「航行の自由の行使に対する度重なる妨害」への深刻な懸念を盛り込んだ共同文書を発表した。
日米豪比の防衛相会談は昨年6月にシンガポールで開催して以来2回目で、約1時間行われた。
共同文書では、「東・南シナ海の状況について深刻な懸念」を共有し、「防衛協力を更に進める」として、4か国による合同演習を拡大する方針を確認した。フィリピンが中国と領有権を争う南シナ海で、中国の退役軍人や漁民らで構成する準軍事組織「海上民兵」の船舶などが活動を活発化させていることにも触れ、「危険な行為に断固反対する」と非難した。
会談後には、前回は行われなかった日米豪比の防衛相による共同記者会見も開かれた。木原氏は「4か国が結束し、ルールに基づく国際秩序と自由で開かれたインド太平洋の実現を、国際社会に発信し続ける」と述べた。オースティン氏は「地域の課題に対応するため、相互運用性を高め、情報共有を進める必要がある」と訴え、4か国の連携強化を急ぐ考えを強調した。
木原氏はオースティン、マールス両氏と個別にも会談したほか、日米豪3か国の防衛相による会談も行われた。
日米防衛相会談では、4月の日米首脳会談で合意した、自衛隊と在日米軍の指揮統制枠組みの向上について、議論を進めることで一致した。日米豪の防衛相は、先端防衛技術分野での共同開発・研究の促進に向けた取り決めの文書に署名した。F35戦闘機による3か国の共同訓練を、それぞれの国で実施することでも合意した。