日本人はコンタクト好き、「ドンキでカラコン買う中学生」と眼の寿命
日本人はコンタクト好き、「ドンキでカラコン買う中学生」と眼の寿命
Fortune Businessinsightsの調査によれば、世界のコンタクトレンズ市場規模は2022年に99 億ドル。2023年の103億5000万ドルから2030年までに154億ドルに成長すると予測されるという。国内では、2023年の出荷ベースで3000億円強だ。
そのコンタクトレンズが実は「高度管理医療機器」であることをご存じだろうか。
2005年の薬事法改正で──
大手総合コンタクトレンズメーカーの「メニコン」HPトップには、以下のようなメッセージがある。
2005年4月の薬事法の改正によりコンタクトレンズは透析器、人工骨、人工呼吸器などと同様の高度管理医療機器として、副作用・機能障害を生じた場合の人体へのリスクが高いものと、位置づけられました。
コンタクトレンズの間違った選択や使用は、眼の疾病を招く危険さえあります。あなたの目の健康のために、正しい知識を身につけて、正しく使ってください。
最近、コンタクト使用者の低年齢化も問題になっている。とくに日本は 「処方箋なしでカラコンが買える」不思議の国だという。
コンタクトレンズの装着にあたっては酸素透過性の担保が必須であるため、度数調整の必要がなくても眼球の「カーブ」をはかることが必須だ。そのため、世界の多くの国では、処方箋がないと買えないという。
ちなみに、あまり知られていないが、日本はコンタクトレンズの大きな市場である。
冒頭で引用したFortune Businessinsightsの調査のとおり、世界のコンタクトレンズ市場規模99 億ドルに比して、日本国内では3000億円──約19億ドル強。この数字からもそれは明確だ。「日本の市場規模は米国に次ぐ世界第2位、世界シェアのほぼ25%を占める」という2019年の調査報道もある。
そんな日本では、中学生でも、量販店などで安価にカラコンを買えてしまう。彼女らにとって、瞳の色を変えるだけでなく大きく見せてもくれるカラコンは、すでに「メイク道具」の1つなのだ。
しかしコンタクトレンズはあくまでも、角膜に接触させて使用する「高度管理医療機器」。保護者としては装着についての教育・管理に注意すべきだろう。
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「ティアステイブル(涙液の安定性)を高める」という新技術も
ジョンソン&ジョンソン ビジョンケア カンパニー 代表取締役プレジデント 森村純氏によれば「同社の過去3年間の調査の結果、目の健康寿命は、一般の寿命より20年短いことがわかった」という。また、われわれは「目の健康」にとかく意識が低いというデータもある。
以下は、日本眼科啓発会議が2021年に40~89歳男女を対象に実施したインターネット調査の結果である。
1987年、世界初の使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を米国で発売、さらには「1dayコンタクトレンズ」というカテゴリーを確立し、今年で「カラーコンタクトレンズ世界発売20周年」を迎えたというそのジョンソン&ジョンソンが4月24日に行ったコンタクトレンズの新製品発表会の中で、つきやま眼科クリニック院長 月山純子医師は、臨床現場における昨今の目の健康やコンタクトレンズ使用に関する課題について以下のように述べた。
「スマホの普及により、近くを見る時間が多くなっている。調節力が落ちている世代のみならず、見えにくくなっている。なによりも、若くても長時間デバイスを見ていると瞬きの回数が減り、ドライアイや眼精疲労を訴える人が増えている」
デジタルデトックスをしたくても、なかなか叶わないのがわれわれの現実だ。そんななか、たとえばそのジョンソン&ジョンソンが今回発表した球面および遠近両用の新コンタクトレンズは、HEVフィルターで散乱しやすい短波長光をカットするほか、ティアステイブル(涙液の安定性)を高めるという。
また、コンタクトレンズが機能性のほかに「美しさ」も担保してくれれば、メイク感覚でカラコンを使う中学生のみならず、大人にとってもありがたいことだ。この需要を叶える上で同社は、カラーコンタクトレンズ設計のために何千人もの瞳のデータを取得、社内にパタンナーやカラーリストを抱え、さらに専門の職人が虹彩模様に近づけたデザインを「手描き」で描いているというから驚きである。虹彩模様、大きさや色は人それぞれ、「美しさは世界にたったひとつ」という哲学に基づくものだ。
「目の健康寿命延伸のため」「美しさのため」の両方を叶えるべく、これから同社をはじめとするコンタクトレンズ各社からどんな取り組みが発表されるか楽しみだ。