巨人の熾烈な外野争いをいち早く制する「ダークホース」は…丸でも秋広でもない育成出身
競争をあおる阿部監督(中央)/(C)JMPA
巨人の阿部慎之助新監督(44)が、盛んにチーム内競争をあおっている。野手でレギュラーが確定しているのは、一塁の岡本和真、三塁の坂本勇人、遊撃の門脇誠の3人のみ。特に熾烈なのは指揮官が「ほぼ(ポジションが)空いている」と公言している外野だ。
「一昨年まで不動のレギュラーだった丸(佳浩=34)、昨季121試合出場で10本塁打とブレークした成長株の秋広(優人=21)もポジションが確約されず、阿部監督はこの2人をレフトで争わせる方針。センターは高卒2年目の浅野(翔吾=19)と同期の萩尾(匡也=23)に加え、ドラフト3位新人で走攻守の三拍子が揃った好選手と期待される佐々木俊輔(24=日立製作所)の若手競争枠とし、ライトは獲得が決まった新外国人オドーア(29)を中心に、ここもまた複数の選手で競わせるとしています」(チーム関係者)
外野にはほかにベテランの長野久義(39)、梶谷隆幸(35)、中堅の重信慎之介(30)、オコエ(26)、若手の岡田悠希(24)と駒は揃っているのだが、どれも決め手に欠けるのが実情だ。メジャー通算178本塁打を誇るオドーアは打率と出塁率が極端に低く、守りも二塁が本職。メジャー10年での外野経験は昨年の右翼での9試合しかなく、米球界に詳しいスポーツライターの友成那智氏は、「二塁守備も外野守備も、お世辞にもうまいとは言えないレベル」だというから、熾烈な競争を勝ち抜くには疑問符がつく。
「ドラ1入団2年目の浅野がセンターのレギュラーに定着してくれればチームとしては万々歳ですが、腰にヘルニアの持病を抱え、昨秋のキャンプも不参加だった。来月からの春季キャンプも故障班スタートが決まり、二軍のコーチによればスローイングに難があり、外野の要であるセンターを任せるにはまだ時間が必要との認識もある。長野は年齢的に年間を通した出場を期待するのは酷だし、故障がちの梶谷もそれは同じ。残りの選手は一軍での実績が少ないだけに、期待はできても計算はできない。レフトだけは、丸と秋広のどちらがレギュラーになっても心配はないのですが……」(ファーム関係者)
そんな中、巨人OBが「いち早く競争を勝ち抜く可能性がある」と名前を挙げるのが、育成出身で今季8年目を迎える松原聖弥(28)である。
「もともと打撃は天才的なセンスがある。入団5年目(21年)に135試合に出場して打率.274、12本塁打をマークしたときには、これで右翼の不動のレギュラーを勝ち取ったと思ったものです。が、ポカが多く、それが原前監督の逆鱗に触れて、ここ2年で出場機会が激減。昨年は21試合出場にとどまった。原監督は一度ダメだと思うと一気に興味を失うタイプだったが、その原監督が去って松原本人もチャンスが巡ってきたと、やる気になっている。昨秋のキャンプから打撃がガラリと良くなり、一軍首脳陣も目を見張ったと聞いていますから」
原監督という障害が取り払われ、育成出身の“雑草”が再び芽を出しそうな気配である。