岸田首相、台湾と外交結ぶパラグアイと首脳会談 中国念頭「力による現状変更許されない」
【アスンシオン=田中一世】岸田文雄首相は3日午後(日本時間4日午前)、訪問先のパラグアイの首都アスンシオンの大統領府でペニャ大統領と会談した。両首脳は、台湾への軍事的圧力を強める中国を念頭に「世界のどこにおいても力による一方的な現状変更は許されない」との意思を確認した。パラグアイは南米で唯一、中国ではなく台湾と外交関係を結んでいる。
日本の首相のパラグアイ訪問は2018年の安倍晋三首相以来。
会談で首相は、パラグアイは自由、民主主義、人権、法の支配といった価値と原則を共有する「長年の信頼できるパートナー」だと強調した。
また、パラグアイが今年前半の議長国を務めている南米の関税同盟「メルコスル」(南米南部共同市場)に関しては、経済関係の緊密化を進めると述べた。メルコスルは3億人の市場を持つ一大経済圏を形成し、日本の経済界やメルコスル側からは日本とのEPA(経済連携協定)締結を望む声が出ている。
宇宙分野での産学官の連携推進も確認した。
首相はパラグアイに先立ち、ブラジルの首都ブラジリアを訪問。同国のルラ大統領と会談後、成果を踏まえた共同声明を発出した。
両国の外交関係樹立130周年にあたる来年を友好交流年と位置付け、ルラ氏の訪日を招待したと明記。常任理事国・非常任理事国の拡大を伴う国連安全保障理事会改革の緊急性を強調し、常任理事国入りを目指す「G4」(日本、ブラジル、ドイツ、インド)で協力することを確認した。