岸田文雄首相、仏と南米に出発 OECD演説で経済安保への貢献訴え
岸田文雄首相は1日午前、フランス、ブラジル、パラグアイ訪問のため、政府専用機で羽田空港を出発した。最初の訪問地のフランスでは2日(日本時間同)、日本が議長国を務める経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で基調演説を行う。経済安全保障強化に向けたOECDの貢献を訴える方向だ。
首相は出発に先立ち、羽田空港で記者団に、OECDでの基調演説について「ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を構築し強化する取り組みを主導していくことを訴えたい」と述べた。
中国を念頭に、経済的威圧や非市場的政策・慣行への対応、供給網(サプライチェーン)強靭(きょうじん)化のため各国の協力の必要性を強調。OECDの分析や評価を通じた国際標準の形成により、そうした取り組みに貢献できると訴える。生成人工知能(AI)の国際ルール作りも提唱する。
3日(日本時間同)のブラジルでの首脳会談では、バイオ燃料関連の技術開発など脱炭素社会の実現に向けた包括的な協力、重要鉱物のサプライチェーン強靭化、農業分野での連携強化などについて確認する。
ブラジルでは中南米政策に関するスピーチを予定しており、首相は「日本と中南米の今日までの道のり、未来に向けての道のりをキーワードにする」と説明した。
パラグアイでも3日(日本時間4日)、首脳会談を行う。
南米2カ国との経済関係の緊密化を図った上で、「力による現状変更」を試みる中露を念頭に、「『法の支配』に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持・強化に向けた連携を確認したい考えだ。
ブラジルには40社以上、パラグアイには10社以上の日本企業の幹部が同行する。首相が両国の日系人と交流する行事も予定している。6日午後に帰国する。