北拉致家族会ら新方針説明に日米「意見一致」 高官ら「時間的制約」に理解示す
【ワシントン=渡辺浩生】北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)の弟で家族会代表の拓也さん(55)ら被害者家族や支援組織「救う会」、超党派の拉致議連メンバーが4月30日、訪問中の米ワシントンで記者会見した。米政府高官らとの会見を通じ、即時一括帰国が実現すれば日本政府による人道支援、独自制裁解除に反対しないとした新運動方針を説明したところ反論はなく、米側と「意見の一致をみた」(議連会長の古屋圭司元拉致問題担当相)との認識を明らかにした。
一行は29日にアーミテージ元国務副長官らと、30日にゼヤ国務次官(民間人保護・民主主義・人権担当)、クリテンブリンク国務次官補、モイ次官補代理、ラップフーパー国家安全保障会議(NSC)上級部長、前駐日米大使のハガティ上院議員らと会見。
一行は、家族会と救う会が2月に決定した「親世代の家族が存命中に全拉致被害者の即時一括帰国が実現するなら、わが国が人道支援を行うことと独自制裁解除に反対しない」との新運動方針を説明したうえで、実現しなければ「強い怒りを持って制裁の強化を求める」との決意を伝えた。
拓也さんらは米側に対し、親世代がめぐみさんの母、早紀江さん(88)、有本恵子さんの父の明弘さん(95)と高齢の2人となり、対話路線に軸足を移した新方針は時間的制約がある中での「苦渋の決断」との思いを訴えた。拓也さんは「現時点で1人からも反論はなかった」と述べた。
拓也さんは早紀江さんの近影を見せながら面会し、ハガティ氏から「あなたは友人であり今後も一緒に闘っていく」と声を掛けられたといい、「課せられた時間の重さや残酷さが米国側に奥深くまで伝わった」との印象を示した。一行は2日まで高官、議員らと面会を続ける。