刃のないスイス・アーミーナイフ開発中、「道具でなく武器」と化す実態に対応
伝統的なスイス・アーミーナイフには刃がある/Adrian Moser/Bloomberg/Getty Images
(CNN) 多機能ツールのスイス・アーミーナイフを製造するスイスのメーカー、ビクトリノックスが、刃のない新製品の開発を進めている。
同社広報は7日、「刃のないポケットツール開発の初期段階にある」とCNNに語り、現在のモデルの入れ替えではなく、品ぞろえを補う製品になると言い添えた。
ビクトリノックスのカール・エルズナー・ジュニア最高経営責任者(CEO)はスイス紙ブリックのインタビューの中で、ナイフ規制を厳格化する国や地域の増加が懸念されると述べていた。
例えば英政府はナイフを使った犯罪の横行に対する懸念から、刃物に対する新規制を検討している。
エルズナー氏もこの規制に言及し、「イングランドやアジアの国では、仕事や屋外での作業に必要とする場合しかナイフの携帯が認められないことがある」と指摘。「都会では、学校や映画館、買い物に出かける際のポケットナイフ携帯が厳しく制限される」とした。
その上で、国によってはナイフは道具ではなく武器とみなされると述べ、例えばサイクリングといった特定のスポーツやアウトドア専用の新ツール開発を進めていることを明らかにした。
「サイクリング用の便利なツールを考えている。既にゴルファー用のモデルはある。サイクリングに専用ツールは必要かもしれないが、刃は必ずしも必要ではない」(エルズナー氏)
赤いスイスクロスのロゴで知られるビクトリノックスはカール・エルズナーが1884年に創業。近年はスイス通貨のフラン高に対抗するため、ソックス、メカニカルウォッチ、フレグランスなどの新商品を発表している。
新製品の発表時期は明らかにしていない。