中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…!海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」
習近平がぶち壊した「チャイナドリーム」
習近平への怨嗟の声が、中国のZ世代で高まっているようだ。
1995年〜2005年の生まれで、高度経済成長を謳歌し、ITに慣れ親しんだこの世代はいま、中国版「大就職氷河期」のただなかで自信を喪失しようとしているという。
2028年にはアメリカのGDPを抜くとさえ言われた、中国の「チャイナドリーム」。Z世代は、自分たちが社会人になっても続いていくと信じて疑わなかった。
就職フェア―に集まるZ世代の若者たち Photo/gettyimages
しかし、彼らはいつ終わるとも知れない長期停滞期に社会人生活を送りかねない厳しい環境に置かれている。
ない袖は振れない…
春節(旧正月)明けの中国経済は相変わらず芳しくない。
大型連休(2月10~17日)の国内観光収入は前年比47.3%増の6327億元(約1.3兆円)とコロナ前の水準を上回ったようだが、中身が悪い。
ロイターの試算によれば、1人当たりの観光支出額の平均は1335元にとどまり、2019年の1475元を9.5%下回っており、中国人の節約志向が続いている。
不動産市場も絶不調のままだ。
不動産関連指標を扱う中国指数研究院は18日、「春節期間中の新築住宅販売(成約面積ベース)が昨年に比べて約27%減少した」と発表した。
中国政府は不動産市場の立て直しに躍起になっている。
中国人民銀行(中央銀行)は20日、住宅ローン金利の目安となる期間5年超の金利を年3.95%と過去最低水準にまで引き下げた。5日に1兆元(約21兆円)の長期資金を市場に放出したことに続く緩和策となる。
人民銀行が支援の先頭に立っている背景には、これまで景気対策を牽引してきた地方政府の苦境がある。地方政府全体が発行した債券の残高は2023年末時点で40兆元(約820兆円)を突破し、年間の支払い利息が1兆2000億元(約25兆円)を超えている。
「ない袖は振れない」状態なのだ。
反スパイ法によって中国への海外からの投資は激減した Photo/gettyimages
とどめを刺した「反スパイ法」
にもかかわらず、中央政府は大規模な財政出動をためらっていることから、中央銀行による支援頼みの構図は強まるばかりだ。
海外金融機関の間では、「中国で進行中の景気の落ち込みは春から夏にかけて悪化する」との見方が広まっていることが災いして、春節明けの株式市場も依然として低調だ。
悪い話題はまだ続く。
昨年の中国への直接投資額が前年比82%減の330億ドル(約5兆円)にとどまり、30年ぶりの低水準になったことが明らかになっている。その要因として、昨年7月に施行された改正反スパイ法など中国での事業環境の悪化が指摘されている。
中国では、さらにスパイ摘発などを担当する国家安全部がネット上に流れる中国経済に関するネガテイブな言動を厳しく取り締まるようになっており、これを嫌気した海外投資家の「中国離れ」が加速することは間違いないだろう。
絶頂から「どん底」へと落ちる若者たち
思い起こせば、英国のシンクタンクは2020年末に「中国は2028年に米国経済を追い抜く」との予測を発表した。中国の2012年の経済規模は米国の約半分だったが、2021年には米国の76%に急接近した。今から振り返れば、このときが中国経済のピークだった。
その後は2年連続で米中の格差は再び広がり、昨年の中国経済の規模は米国の64%にまで縮小した。
安徽省安慶市の就職フェアで職を探す求職者たち Photo/gettyimages
足元では「不動産バブルが崩壊した中国では日本のようにデフレが数十年続く可能性が高く、中国が米国を追い抜くことは永遠にない」との声がコンセンサスになりつつある。
習近平国家主席は2013年、中国民族の復興という「中国の夢」というビジョンを掲げたが、米国を抜いて中華帝国の過去の名声を取り戻す前に、中国の夢が悪夢と化してしまうという危機に直面している。
このことに最もショックを受けているのが、Z世代なのだ。
後編記事『「習近平は田舎者」と罵詈雑言も…!大型連休中に飛び交った「習近平への怒りのメッセージ」、そのヤバすぎる中身』では、中国経済の絶頂期に生まれたZ世代の怨嗟の声と中国人がいかに習近平への不満を募らせているのかを見ていこう。