上げ馬神事、「動物虐待」批判で改善策講じて開催…人馬けがなく初日終了
土壁が撤去された坂を駆け上がる馬(4日、三重県桑名市で)=稲垣政則撮影
三重県桑名市の多度大社で4日、馬が坂を駆け上がる県無形民俗文化財の伝統行事「上げ馬神事」が始まった。SNSなどで「動物虐待だ」との批判が上がったことを受け、今年は馬が乗り越える高さ約2メートルの土壁を撤去するなどの改善策を講じた。
上げ馬神事は約700年前に始まったとされ、若者を乗せた馬が急坂を駆け上がり、土壁を乗り越えた回数で農作物の豊凶を占ってきた。しかし、昨年の開催時に1頭が転倒、骨折して殺処分され、全国から批判が殺到。大社側は土壁を撤去したうえで坂の勾配を緩やかにするなどし、馬を威嚇する行為も禁止した。
この日は陣笠(じんがさ)に裃(かみしも)姿の若者が6頭に騎乗。多くの観光客らが見守る中、全頭が無事に坂を上りきり、大きな歓声を受けていた。神事の実施主体で、大社や氏子らで構成する「多度大社御厨(みくりや)総代会」の伊藤善千代会長(75)は「人馬ともけがなく初日を終えられ、安心している」と話した。神事は5日も行われる。