ブラザー社長「信頼関係を築くことは見込めない」…ローランドDGへのTOBを事実上断念
プリンター大手のブラザー工業は9日、同業のローランド・ディー・ジー(DG)への株式公開買い付け(TOB)価格を引き上げないことを決めたと発表した。ローランドDGは、ブラザーよりも好条件で経営陣による自社株買収(MBO)を進めている。ブラザーが事実上、TOBを断念した形だ。
ブラザー工業の佐々木一郎社長
ブラザーは3月、ローランドDGの事前の同意を得ずに1株5200円でTOBを行う計画を公表した。ローランドDGは2月から、米投資ファンドと組んで1株5035円で自社株を買い付けており、ブラザーが計画を公表後、価格を5370円に引き上げていた。
ローランドDGは、ブラザーのTOBが成立すれば一部事業に「ディスシナジー(負の相乗効果)が出る可能性がある」とも主張していた。9日に記者会見したブラザーの佐々木一郎社長は「(ローランドDGの主張には)論理の飛躍がある。根拠を欠く主張を繰り返す経営陣と信頼関係を築くことは見込めない」と述べた。