バズる関西トレンド 素足に見えて暖かいベージュのタイツ「ヌーディ54d」が爆売れ 傷や毛穴で足を出せなかった人の悩みの解決にも
素肌っぽくて暖かい「ヌーディ54d」
女性の足元の防寒対策には欠かせないタイツに、いま大きな変化が起きている。これまでタイツといえば、圧倒的に黒色が売れていたが、3年ほど前からベージュの人気が一気に高まっているのだ。大阪の靴下メーカー「タビオ」の直営店「靴下屋」でも、若い女性を中心にベージュのタイツが売り上げを伸ばしている。
X(旧Twitter)には「80デニール(=繊維の太さを表す単位)のベージュタイツが暖かくて助かった」「パンプスに肌色のストッキングだと寒くて死ぬって思った」など、ベージュタイツを待望する声が続出。消費者のニーズに対応して、ベージュタイツのバリエーションも広がっている。
かつては〝ダサい〟イメージしかなかった肌色のタイツに注目が集まったのは、インスタグラムでの動画投稿がきっかけだ。同社の公式インフルエンサーでフォロワー数15万9000人の三輪まりんさんが「冬でもスカートやワンピースを楽しめちゃう魔法のタイツ」として、タイツを引っ張りながら紹介。「素足だと思ってみていたのでビックリ」「こんなタイツあるの知らなかった」というコメントがあり、「いいね!」が4870、再生回数も33万回を超えた。
同社ウェブ事業部SNS担当の田口裕貴氏は「ベージュは死に色だったが、ストッキング代わりにはくといいよねって投稿したらバズりました。ミニスカートにブーツをはいて素足っぽさを出すトレンドとも合致。当社では2年前からベージュが売れ筋トップになりました」と話す。
80デニールのベージュタイツはたった1色で前年比1600%の売り上げを達成。これを機に翌2022年には、さらに進化したフェイクスキンタイツ「ヌーディ54d」を色数を増やして発売した。業界初の超極細繊維を使用した糸を、タイツ用の機械ではなく、ストッキング用の機械で編み立てることで、より素肌っぽく暖かいタイツが完成。デメリットだと思われていた透けにくさが「足の傷や毛穴のせいで足を出せなかった人の悩みの解決にもつながりました」(田口氏)。
同社では、足首から先のないレギンスも同じ素材で展開。靴下と組み合わせれば、より防寒性が高まることをSNSで発信し、1万以上の「いいね!」を獲得した。
「防寒にはタイツと思い込みがちだが、氷点下ならレギンスのほうがいい。例えば、冷えを解消したいと思っている顧客には、その原理をこまかく説明するようにしています」と田口氏。顧客にとってプラスになる情報や知らないことをいかに提供できるか。その結果、顧客の信頼を得ることが、いまの時代に最も重要だという。
同社では越智勝寛社長もインフルエンサーとして活動。SNSを通じて個人の発信力を強めることに取り組んでいる。 (隔週水曜日掲載)
■橋長初代(はしなが・はつよ) フリーライター。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、ホテルなどの動向をビジネス系メディアに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を重視。2019年に実家のある奈良にUターン。最近は、奈良の歴史と文化に魅了され、地元の情報誌やSNSでの発信にも力を入れている。