バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景 ポトマック通信
バイデン米大統領は1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか。理由はわれわれが移民を歓迎するからだ。なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか。なぜ日本は困難な状況なのか。ロシア、インドはなぜか。理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」との疑問だ。バイデン氏がなぜ日印中露をひとくくりに「外国人嫌い」としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」と述べた。流せなかったのか、日本政府は「正確な理解に基づかず残念」と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。
(渡辺浩生)