ガザ戦闘による経済損失1兆円超、住民の6割貧困状態…国連報告書
4月21日、ガザ南部ラファで、イスラエル軍の攻撃により崩壊した住宅を捜索するパレスチナの人々=ロイター
【ニューヨーク=山本貴徳】国連開発計画(UNDP)は2日に公表した報告書で、パレスチナ自治区ガザで昨年10月に始まった戦闘による経済損失は、半年間で約69億ドル(約1兆600億円)になると試算した。住民の約6割が貧困状態に陥っていると警告した。
報告書によると、国内総生産(GDP)は23年の約9%に続き、24年も約26%を失う恐れがある。失業率は戦闘開始前の約26%から約46%へと悪化しており、貧困にあえぐ人が167万人増えたとした。
さらに戦闘が9か月間になれば、損失は76億ドルに拡大すると予測した。社会・経済基盤は大きな打撃を受けており、戦前に戻るには20年かかると指摘した。
ガザでは4月12日までに少なくとも3万3000人のパレスチナ人が死亡し、7割が女性と子どもだったほか、約7000人が行方不明になっているとした。
UNDPのアヒム・シュタイナー総裁は声明で「短期間で前例のない人的損失、資本破壊、貧困の急上昇は、将来世代の未来を危うくする深刻な開発危機を引き起こす」と訴えた。