アメリカ、経口中絶薬を大手薬局で販売へ 大統領「重要な一里塚」
経口の人工妊娠中絶薬「ミフェプリストン」=AP
米大手薬局チェーン「CVS」と「ウォルグリーンズ」は1日、経口の人工妊娠中絶薬「ミフェプリストン」を処方薬として販売する認可を得たと明らかにした。米メディアが報じた。中絶が認められている州で、近く販売を開始する。バイデン大統領は11月の大統領選に向けて、中絶を選ぶ権利の擁護を掲げており、「重要な一里塚だ」と歓迎した。
ミフェプリストンは2000年に米食品医薬品局(FDA)に承認されたが、以前はFDAから認可を受けた医師しか販売できなかった。FDAが23年1月に指針を改定し、医師の処方箋があれば薬局でも販売することを認めた。遠隔で医師の診断を受けた後、近くの薬局で受け取ることも可能になり、選択の幅が広がる。
中絶には2種類の薬が使われるが、ミフェプリストンに続いて服用する「ミソプロストール」は以前から薬局でも販売されていた。
米国では22年6月の連邦最高裁判決で、州による中絶禁止が容認された。中絶反対派が多い共和党の主導で、少なくとも14州で中絶は禁止されている。民主党のバイデン氏は声明で「共和党は生殖の自由を容赦なく攻撃しているが、我々は女性が必要な医療を受けられるように今後も闘っていく」と述べた。【ワシントン秋山信一】