「閣議決定で憲法を軽視」 沖縄の視点から批判 秋田で集会開催
「閣議決定の多用は危険」と話す沖縄国際大の前泊博盛教授=2024年5月3日午後1時31分、秋田市、阿部浩明撮影
沖縄の視点から現行憲法の意義を考えようという「平和憲法をまもる秋田県民集会」が憲法記念日の3日、秋田市で開かれた。元琉球新報論説委員長で、基地問題に詳しい沖縄国際大大学院の前泊博盛教授(安全保障論)が「沖縄が問う日本の憲法、安保、地位協定」と題して講演。市民約400人が耳を傾けた。
「閣議決定の連発は危険」と話した沖縄国際大の前泊博盛教授=2024年5月3日午後1時25分、秋田市、阿部浩明撮影
「捨て石」にされた沖縄戦で多数が犠牲となった沖縄。戦後は「銃剣とブルドーザー」で収奪された土地が米軍基地になり、国土のわずか0・6%の沖縄に米軍専用施設の7割が集中する。
2019年に辺野古沿岸部の埋め立ての是非を問う県民投票があり、反対が7割を超えた。現職の玉城デニー知事も22年、辺野古移設反対の立場で再選した。だが「民意」に反し、辺野古で新基地建設が強行されている。
前泊教授はこうした沖縄の歴史を概観したうえで、「今また、沖縄を含む南西諸島で自衛隊の増強が図られている」と懸念する。この「南西シフト」に合わせ、政府は5年間の防衛予算を従来の1・5倍となる43兆円に増やすことを決めた。
「この国の危険なところは、軍事力の強化や敵基地攻撃能力の保有方針などが、十分な国会審議もなく、憲法を超えたところの閣議で決められていることだ」と批判。
「平和憲法をどう守り抜くのか。ひとたび戦争になればなすすべは何もない。投票ができる今のうちにちゃんとした政治家を選ぼう」と呼びかけた。(阿部浩明)