「輪島でやってきたこと出す」系列校に避難の日本航空石川、選抜高校野球出場へ
第96回選抜高校野球大会への出場が決まり記念撮影する日本航空石川の選手=山梨県甲斐市の日本航空山梨キャンパス(萩原悠久人撮影)
第96回選抜高校野球大会の出場校に26日、日本航空石川(石川県輪島市)が選ばれた。能登半島地震で学校施設が大きな被害を受けた同校の野球部員らは、系列校の日本航空高(山梨県甲斐市)の山梨キャンパスに避難し練習を再開。支援への感謝を胸に、甲子園での飛躍を誓った。(山本玲)
同日午後、出場校の決定を伝えるインターネット中継で、北信越地区の代表校の一つとして名前が告げられると、山梨キャンパスのホールに集まった野球部員は涙を流し、喜びをかみしめた。
学校法人日本航空学園によると、日本航空石川がある能登空港キャンパスでは、地震で建物の窓ガラスが割れ、水道やガスの一部が使えなくなるなどの被害に見舞われた。
野球部員は多くが県外に帰省しており、けが人はいなかったが、ブルペンが隆起し地下タンクが露出するなどして、練習どころではない状況に陥った。
昨秋の北信越大会で4強入りし、選抜出場の可能性を残す野球部に救いの手を差し伸べたのが、日本航空高だった。15日から32人の主力選手が順次山梨へ入り、19日から廃校となった旧増穂商業高(同県富士川町)のグラウンドで、練習を再開した。
春の選抜出場は、新型コロナウイルス感染拡大で中止された92回大会以来、4年ぶり3度目。被災したキャンパスに残る青木洋介校長はオンライン中継を通じ「こっちはわれわれで守る。野球部のみんなは甲子園で思いっきり暴れてきてほしい」とエールを送った。
中村隆監督は「元気な姿を被災地に届けられれば」と語り、宝田一慧(ほうだいっけい)主将(2年)も「(震災以降)いろんな方が支援をしてくださった。輪島で2年間やってきたことを甲子園で出したい」と健闘を誓った。