「派閥の指示から外れたことはできない」、多数の議員が違法性認識しつつ不記載継続…自民報告書
(写真:読売新聞)
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、自民党が15日に公表した報告書では、多数の議員が違法性を認識していた実態が浮き彫りになった。問題意識を持った議員も最終的に「派閥の指示」に従い、是正には動かなかった。
「気持ち悪いと思ったので使わなかった」
「『裏金』みたいなものではないかと思い、全額残した」
報告書では、派閥の政治資金パーティー収入のうち、還流などで議員側に渡った資金を使用しなかった議員らのこうした認識が匿名で紹介された。
聴取対象となった議員ら85人の約4割にあたる31人は還流資金を「使用していなかった」と回答しており、最も多い理由は「不明朗な金銭だったから」(13人)だった。
還流資金を政治資金収支報告書に記載していないことを自ら認識していた議員らは11人に上り、いずれも安倍派(清和政策研究会)の所属だった。
聴取では、「派閥事務局から『収支報告する必要はない』と言われたのを信じていた」「派閥事務局からの説明を受け、記載しなくても合法だと認識した」との説明があった。一部の議員は収支報告書に別の費目で記載していた。
ある議員は「疑義がないように『清和研』の文字が入った口座で保管していた」と振り返り、派閥会長を務めた細田博之・前衆院議長に返却を申し出たり、安倍晋三・元首相に「おかしい」と懸念を伝えたりしたと明かした。
一方で、「派閥の会員は、派閥から指示されると、外れたことはできない」といった声もあり、結果として、資金の還流と不記載という仕組みは派閥ぐるみで長年にわたって続けられていた。
報告書は還流資金の収支報告書への不記載について、「疑問や違和感を有していた者が相当数いたのに、根本的な是正の端緒にできなかった」と指摘。安倍派内で2022年に是正の動きがあったのにもかかわらず、不正が続けられたことについて、「当時の幹部が何らかの問題意識を持っていた可能性は払拭(ふっしょく)できない」とも断じた。