吉田屋旅館が自己破産申請 きらやか銀、債権取り立て不能の恐れ
吉田屋旅館=山形市
帝国データバンク山形支店、東京商工リサーチ山形支店によると、蔵王温泉の吉田屋旅館(山形市、ノーレン千草社長)は2日、山形地裁に自己破産を申請した。負債は約6億円で新型コロナウイルス関連倒産に当たる。
江戸時代中期に創業し、1960(昭和35)年に法人化。89年には「ホテルオークヒル」をオープンして吉田屋旅館と2軒を運営したが、設備投資負担が重く、金融依存度が高い状況が続いた。東日本大震災や蔵王山噴火予兆の風評から厳しい経営を強いられ、コロナの影響もあって採算性の改善が進まず、事業の継続を断念した。
きらやか銀など債権取り立て不能の恐れ
じもとホールディングス(仙台市)は2日、吉田屋旅館に対するきらやか銀行ときらやかリースの債権計5億9700万円について、取り立て不能・遅延の恐れが生じたと発表した。
債権は同行の貸出金5億8700万円と、きらやかリースのリース債権100万円、割賦債権800万円。2024年3月期に必要な引き当て処理を行っており、連結業績予想に変更はない。
吉田屋旅館の建物は蔵王温泉で温泉宿を営む高見屋旅館グループが取得し、約15人の従業員の希望者も新たに雇用する。建物の修繕や許認可などの手続きを行った後、8月をめどに同グループとして新たに営業を始める予定。吉田屋旅館の意向を尊重し、同行が仲介した。