大谷翔平の移籍後、“日本人記者が激減した”エンゼルスの本音「みんな、どこに行ったんだ?(笑)」 現地で感じた“大谷と元同僚の関係性”
エンゼルス戦でホームランを放ち、チームメイトに迎えられる大谷翔平
ドジャースのメンバーとして、かつての同僚達と再会し仲睦まじげな様子を見せている大谷翔平。“大谷番”として、エンゼルスのスタッフや選手たちとも長い期間かかわってきた斎藤庸裕氏が、現在の関係性をレポートする。
ドジャース大谷翔平投手(29)と古巣エンゼルスの間には、ほほ笑ましい光景が広がる。お互いの本拠地が高速道路(フリーウェイ)で結ばれていることから、フリーウェイ・シリーズと呼ばれる両軍の対決。6月21日からの2連戦で2戦連発を含む6打数3安打、4打点と活躍した。6年間在籍したエ軍では、最終年にリーグ本塁打王を獲得。古巣で毎年、進化を遂げてきた打撃力は健在だった。
真剣勝負となれば別だが、試合前は久々の再会を存分に楽しんでいるようだった。ウォーミングアップを開始すると、大谷がミッキーマウスのポーズでも話題になったミッキー・モニアック外野手(26)と握手し、胸を合わせて抱き合った。その後、自主トレをともにしたことがあるジョー・アデル外野手(25)、メジャー2年目のノーラン・シャヌエル内野手(22)、19年から5年間、ともに戦ったルイス・レンヒーフォ内野手(27)ら、続々と顔なじみの選手と笑顔であいさつを交わした。
「君たち(大勢の日本メディア)がいなくて寂しいよ」
2戦目の試合前、大谷は右肘のリハビリのためのキャッチボールを終えると、エ軍の選手たちが練習していた右翼フィールドへと向かった。前日の大谷との対戦で左肘を痛めたが、長年、仲良しでクラブハウスでも隣同士だったパトリック・サンドバル投手(27)、17番のレプリカユニホームを宝物にしているグリフィン・キャニング投手(28)ら盟友たちとしばらく談笑。すると、他選手はもちろん、トレーナーら球団スタッフも続々と集まり、青空の下で即席の“大谷を囲む会”のような雰囲気になった。
そんな和やかムードの余波は、日本メディアにも届く。現在エ軍のアシスタントコーチを務めるティム・バス氏は冗談交じりに「君たち(大勢の日本メディア)がいなくて寂しいよ。みんな一体、どこに行ったんだ?」と笑い、昨年までのにぎやかな様子を懐かしんだ。球団の広報部長は、数人の顔なじみの日本人記者を見つけると、「みんな元気かい? 会えてうれしいよ」と声をかけていた。
元同僚は久々の記者にも「ゲンキデスカ」
エンゼルス戦を終えると、ホワイトソックスとの3連戦で敵地シカゴへ移動となった。すると、ここでも懐かしの面々と再会。メジャー1年目の18年に女房役を務めたマーティン・マルドナド捕手(37)は今季からホワイトソックスに所属。以前と変わらず、クラブハウスで会えば「マイ・フレンド」と笑顔を見せ、「ゲンキデスカ」とお気に入りの日本語で近況を尋ねてくれる。
さらにホワイトソックスには、昨年エンゼルスに所属していたテムズ打撃コーチ、ブテラ捕手コーチ、ワイズ投手コーチ補佐も在籍していた。どのコーチも、数人の日本人記者を見つけると「ヘーイ」と歩み寄り、握手をしてくれた。有り難いつながりを感じることは多々あるが、それも大谷が選手やコーチ、球団スタッフとの関係性を築いてきたからこそ。日本メディアの一人として自然と認識してもらい、会話を交わせるのは感謝でしかない。
チームは別々になっても、変わらない絆
大谷はホワイトソックス3連戦の初日、テムズ打撃コーチと再会し、満面の笑みでうれしそうにハグ。「アハハハハ」と独特の笑いが何度も響き、チームは別々になっても、変わらない絆があった。古巣エンゼルスとの2連戦を今季ベストの状態で迎え、続くホワイトソックス戦ではドジャースの球団記録を塗り替える10試合連続打点をマーク。ともに戦った仲間たちに、元気な姿を見せるには十分な活躍ぶりだった。