市場規模拡大が続く「無糖炭酸水」、ユーザーを惹きつける3つのポイント 「健康志向」「価格面の優位性」「アレンジの自由度」
無糖炭酸水が人気化している背景は?
年々市場規模を拡大させているのが無糖炭酸水だ。富士総研の「2023年 清涼飲料マーケティング要覧」によると、無糖炭酸飲料市場は、2022年に1147億円、2023年見込みで1264億円と右肩上がりで推移していることがわかる。コンビニやスーパーマーケットのドリンクコーナーでは、プレーンな炭酸水からさまざまなフレーバーの炭酸水まで、多数の無糖炭酸水が販売されている。
【写真】無糖炭酸水を使って作ったシークヮーサーのオリジナルジュース。スタバのカップをリユース
人気の背景には、健康志向で低カロリーなドリンクが選好されるようになったこと、家飲みの際の割材としての需要が高まっていることなどが指摘されている。実際に「無糖炭酸水を飲むようになった」という人たちは、どのような点に魅力を感じているのだろうか。
都内在住の会社員・Aさん(40代男性)は,子供の頃からコーラなど炭酸飲料が大好きで、長年にわたって飲み続けてきたが、最近無糖炭酸水に切り替えた。
「飲食店でも家でも食事どきはコーラ、コンビニでドリンクを買うときもコーラ……という感じで、常にコーラ。30代後半くらいからだんだん体重が増えてきて、ダイエットを意識し始めたのをきっかけに、無糖炭酸水を飲むようになりました」(Aさん)
甘いコーラから無糖炭酸水に切り替えたわけだが、最初はなかなか慣れなかった。
「炭酸のシュワシュワ感がほしかったので、無糖炭酸水を手に取ったのですが、最初は“甘くない”という点になんとも言えない違和感がありました。でも、最近はフルーツフレーバーの無糖炭酸水も多く販売されていて、いろいろ飲み比べる楽しみを覚えました。今となっては、甘みがあると逆に違和感を覚えるくらい。最近は糖分が入っていなくても果汁感を感じられるものも発売されているので、いいですね」(Aさん)
飲料の値上げが続くなか「安い」というメリット
無糖炭酸水はその安さも大きなメリットだ。現在販売されている500mlペットボトルのお茶類や炭酸飲料のコンビニ価格は140円から180円ほどが多い。一方の無糖炭酸水は、110円から150円といった価格帯だ。
その安さから無糖炭酸水を買うようになったというのは、都内在住の美容師・Bさん(30代女性)。
「いつも出勤時に何か1~2本ドリンクを買うのですが、最近は無糖炭酸水。買うようになったきっかけは、ドリンク類の値上げですね……。500mlのお茶が200円近くするようになった時に、“別にお茶でなくてもいいや”という気持ちになって。水でもいいんですが、水より炭酸水のほうがちょっと“飲んだ”感があるので、コスパは悪くないと感じます」(Bさん)
さまざまな形でアレンジができる
神奈川県に住む会社員・Cさん(40代女性)は、10年以上前から無糖炭酸水を愛飲してきたが、ずっと夫からは「よく飲めるね」と不思議がられてきた。そんな夫が、最近無糖炭酸水を飲むようになったという。
「甘い飲料は好きじゃないし、麦茶やコーヒーなら自分でつくります。炭酸水はその刺激で気分がリフレッシュできるのが好きで、昔から海外のガス入りミネラルウォーターをケース買いしています。炭酸水メーカーを買おうかと考えたこともあるのですが、メンテナンスや場所をとることがネックになって、結局ペットボトル派です。
以前は夫から『味なしの炭酸水なんてよく飲めるね』と言われたものですが、海外だと飲食店によってはガス入りのミネラルウォーターが選べたりして、割と当たり前ですよね。最近では、家飲みをするようになった夫がハイボールをつくるための割材として無糖炭酸水を買ってきて、そのままでも飲むようになっています」
さまざまな形でアレンジができるのも、無糖炭酸水のメリットだという。
「ハイボールやレモンサワーなど、自分好みのアレンジがいいと言って、自宅で炭酸水で割ってつくるほうが多くなりました。ほかにもはちみつに漬けたレモンを入れたり、濃縮タイプのシークヮーサージュースを割ったり、いろいろ活用できるのはいいですね」(Cさん)
健康志向にくわえ、価格面でのメリット、さらにはアレンジの楽しさもある点などが、無糖炭酸水の人気の要因となっているようだ。(了)