上級者はスタート前にちゃんとチェックしてるって本当? グリーンの「刈高・スピード・コンパクション」とは!?
基準が分かればその日のグリーンコンディションも把握しやすくなる
ゴルフ場では、当日のグリーンのコンディションを、マスター室の前などに設置されたボードで確認することができます。主に「刈高」や「グリーンスピード」、「コンパクション」といった項目がありますが、これらは一体どのようなものなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
上級者はスタート前にちゃんとチェックしてるって本当? グリーンの「刈高・スピード・コンパクション」とは!?
「刈高は、芝をどのくらいの高さに剪定するかを決めるもので、一般的には年間を通して3ミリ台をキープできるように管理がなされています。もしも4ミリを大きく超えていた場合はボールが転がる際の抵抗にも関わってきますし、2ミリ台まで短く刈り過ぎると光合成を行える範囲が狭くなり、とくに夏の間は栄養失調が原因で抜けてしまう可能性があります。夏は1年間でもっとも芝の成長が盛んになるので、高品質なグリーンを維持するのはとても難しいのです」
「刈高の高低に伴って、転がるボールのスピードが速くなったり遅くなったりするのですが、これをグリーンスピードといいます。芝の刈高が短い方が、ボールが受ける抵抗が減少するのでスピードも増します。一般的なゴルフ場では、およそ9.5~10.5フィートという、遅すぎず速すぎない数値になるように調整されています」
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「一方で、トーナメントが開催されるようなコースでは、難度を上げるためにそれ以上に速くすることもあります。女子トーナメントで11~12フィートほど、男子トーナメントだと12フィートを超える速さに調整することもあります。対して、9.5フィートよりも遅くなるとボールが急に失速しやすく、あと一転がりでカップインしそうなところで止まってしまう何てこともあります」
「グリーンスピードを測る器具は『スティンプメーター』というV字の溝があるアルミの棒です。測定の条件が公平になるよう、長さはUSGAの規格で3フィート(およそ91センチ)と決められています」
「丸いくぼみの上にボールをセットします。反対側をグリーン面に付けた状態で少しずつ持ち上げていくと、一定の角度を超えた時点でボールが坂を下ってグリーン上を転がります。そして、止まるまでにボールが進んだ距離がグリーンの『速さ』となり、平らな場所で3回同じ作業を繰りかえして求められた平均値が、いわゆる『本日のグリーンスピード』となるのです」
芝は生き物。グリーンコンディションは刻一刻と変化する
では、コンパクションとはどのようなものなのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「コンパクションはグリーン面の『硬さ』を指し、測定方法の違いによって『ラング式』と『山中式』の2種類に分けられます。コンパクションメーター(土壌硬度計)という器具の先端に取り付けられた針を地面に刺し、その反発によってバネが伸び縮みした長さで数値が出されます」
「ラング式の場合は『10』、山中式の場合は『21〜22』を一つの目安としており、もしもそれより値が小さいと着弾した時の跳ね返りが弱まってランが出にくくなります。その状態では、例えばアイアンショットでピンの手前に落としてランを活用しようとしても、ボールがグリーンに食い込むように落下し、イメージ通りにピンに寄せることが難しくなるでしょう」
「反対に、グリーン硬すぎるとバックスピンがききにくく、ボールがなかなか止まらないグリーンになってしまうので、速さと同じく“絶妙な間”を取ることが求められます」
芝は生き物ですので、季節や天候といった自然条件に加えて、ゴルファーに踏まれる頻度などでもコンディションは刻一刻と変化していきます。そのような中でも、常に一定で高い品質のグリーンを提供できるよう、コース管理者の手によって細かな調整がなされていると言えるでしょう。
ピーコックブルー