千葉科学大公立化 収支見通し厳しく 検討委が財務シミュレーション公表
公立化した場合も、厳しい収支となる見通しが示された検討委の第3回会合=銚子市で
千葉県銚子市の千葉科学大学を経営する学校法人加計学園(岡山市)が同大学の公立化を求めている問題で、市の設置した検討委員会は市内で6月30日、第3回会合を開いた。学生定員などが現状規模のまま、公立大学法人に移行しても収支見通しは厳しいとする、市作成の財務シミュレーションが示された。(堀場達)
同大学では近年、危機管理、薬、看護の3学部とも入学者の定員割れが続いており、経営圧迫と公立化要望の背景となっている。シミュレーションは論議の焦点でもある「入学定員充足率」をめぐり、90%、95%、100%の3パターンごとに、公立化してから10年間の収支を算出した。
入学金や、公立化で国から交付される運営費などの収入から、人件費、教育研究経費などの支出を差し引いた「教育活動収支」は、充足率90%の場合、10年後も赤字は解消しなかった。年間赤字額は1億2700万円~7億2600万円。
同95%では、公立化4年目から6年目に年間2800万円~8600万円の黒字を計上するが、教員の昇給などで7年目から再び赤字に。同100%に達すれば、公立化3年目以降、10年目まで黒字が確保できると予測された。
会合では、私立から公立化した全国の12大学についてのデータも提示された。定員充足率はおおむね100%以上で推移しているものの、中には定員割れが生じた大学もあり、委員からは「2次、3次募集で学生を確保している大学もある」など、少子化で公立の大学運営も難しくなっている状況が報告された。
また、他大学が立地する自治体などの人口や財政規模が銚子市を大きく上回っている事情を踏まえ、委員たちはこれまでも再三、学部学科や定員の縮小を提言してきた。
しかし、加計学園の渡辺良人専務理事は会合の冒頭「学生や教員が動揺するので、現状のままの公立化移行をお願いしたい」と、スリム化は受け入れられないとの考えを明らかにした。
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