「まさかの開幕戦に」茨城県高校野球初の女性ノッカー、いざ出陣 土浦二高・小林ことさん
中央高との練習試合前に外野へノックを放つ土浦二高の小林ことさん=6月30日、茨城県小美玉市張星(三浦馨撮影)
茨城の高校野球の歴史に新たな一ページが刻まれる。女性の顧問教諭(部長)や女子部員による試合前のシートノックが初めて正式に認められた夏の高校野球県大会で、6日の開幕カードを戦う県立土浦二高の2年生部員、小林ことさん(16)が先陣を切ってバットを握る。
一度は野球を断念
「できるだけグラウンドに立ちたかった。素直にうれしい」とうなずく小林さん。
父親の野球好きが影響し、小さい頃からおもちゃのバットとボールを手に育った。本格的に野球に取り組んだのは土浦市立土浦二中に入学後、軟式野球部の門をたたいてから。レギュラーを目指したがかなわず、他の部員に技術面で劣っていることを痛感。「もう野球はやめよう」といったん区切りをつけた。
だが、土浦二高に入学が決まって野球部の相良真博監督(39)から「まだ野球をやりたいか」と声をかけられ、再び白球を追いかける決意をした。「やっぱり野球のチームプレーが好きなんです」。
最初は硬式ボールに対する怖さがあったが、「今は心理的に慣れてきた。もちろん当たれば痛いですけど」。ポジションは外野で「打球に対する距離感もつかめて、しっかりボールを捕れるようになった」。身長153センチ。打撃では軟式よりもズシリと重い金属バットに「小さく振り、小さく当てるスイング」で対応し、手応えを感じている。
大役は開会式直後に
現在はルール上、公式戦には出場できないが、土浦二高は毎年11月、茨城県内外の高校チームと選手主体で試合を行う「PCリーグ」に参加しており、ここには小林さんも出られる。
1年だった昨秋、2試合に出場。相手の失策による出塁はあったが、女子選手によるリーグ初安打はならなかった。右打者の小林さんは逆方向(センターからライト)へ打ち、内野の頭を越えるバッティングを理想とする。「今年こそ、きれいなヒットを打ちたい」と燃えている。
相良監督は「まじめで負けず嫌い。ミーティングでも『これではダメ』とはっきり意見してくれる」とチームでの存在感を認める。
シートノックの大役が、開会式直後の試合と決まり、「まさかと思った。びっくりした」と苦笑しつつ、「緊張しているけど、やることをやるだけ」と覚悟を決めている。(三浦馨)