円が対ドルで160円台後半、仏選挙受け対ユーロでの最安値更新が重し
(ブルームバーグ): 1日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=160円台後半を中心に推移。対ユーロでの最安値更新が重しとなったほか、月初の円売り・ドル買いもあり、先週末に付けた約38年ぶり安値に迫る場面が見られた。一方で、政府・日本銀行による円買い介入への警戒感がくすぶっており、161円台を付けた後は下げ渋っている。
日銀が発表した企業短期経済観測調査(短観、6月調査)に対する反応は限定的だった。
週末に行われたフランスの国民議会(下院)選挙の第1回投票では、極右政党「国民連合(RN)」が事前の世論調査より小幅な差での勝利となる可能性が浮上。早朝からユーロ買いが先行し、投資家心理の改善により円とドルは対他通貨で軟調となっている。
ユーロが対ドルで上昇、極右RNは絶対多数に届かないとの見方
円は午後0時17分現在、対ドルで前週末比6銭安の160円94銭、一時161円19銭まで下落円は対ユーロで一時173円22銭と1999年のユーロ導入来の安値を更新 |
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、円相場が約38年ぶりの対ドル安値に迫ったことについて「月初で公示仲値にかけてまとめてドル買いが入った」と指摘。さらに仏下院選挙で極右政党が絶対多数に届かないとの見方を背景に「ユーロの買い戻しが対円で広がったことも、ドル高・円安に寄与した」と話した。
円は週明けの取引で対ユーロで最安値を更新した他、対オーストラリアドルで一時2007年11月以来の107円台半ば、対ニュージーランドドルでは98円台前半と86年6月以来の安値を付けている。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、仏下院選の決選投票を1週間後に控えて「一本調子でリスクオンというわけにもいかないが、短期的には円安・ユーロ高が一段進むことで円が幅広く押し下げられる可能性はある」と予想した。
ドル・円の推移
先週末の円相場は4月29日に付けた160円17銭を下回って円安が加速。6月28日には一時161円27銭と1986年12月以来の安値を更新した。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、アセットマネジャーとレバレッジファンドの同25日時点の円の対ドルポジションは計21万枚規模の売り越しで、円先安観が強まっている。
スタンダードチャータード銀の江沢氏は、円が再び160円台に下落し「水準で介入を実施しているわけではないことが確認できたため、どこで介入があるかを恐る恐る試していく展開だ」と語った。
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