U-23日本代表、苦しみながらアジア頂点に…選手層を厚くした大岩監督の綿密なマネジメント
後半ロスタイム、決勝ゴールを決める山田楓(3日)=松本拓也撮影
【ドーハ=林田晴樹】3日(日本時間4日未明)にドーハで行われたサッカー男子のパリ五輪最終予選を兼ねたU―23(23歳以下)アジア杯の決勝で、8大会連続の五輪出場を決めている日本はウズベキスタンに1―0で競り勝ち、2016年大会以来、2度目のアジア王者に輝いた。守勢に回った前半をしのぎ、後半ロスタイムに山田楓がミドルシュートを決めた。大会最優秀選手(MVP)には藤田が選ばれた。
大岩監督は「不格好かもしれないけど、決勝はこういうもの」と実感を込めた。
立ち上がりから相手の素早いプレスをかいくぐれずに圧力に屈し、前半に好機をほとんど作れない。これまでの道のりと重なるような苦しい戦いだった。
だが、迎えた後半、相手は連戦の疲れからか、強度がガクッと落ちる。「0―0で耐えられたことが全て」と山本。後半ロスタイム、高井が中央でボールを奪ってパスをつなぎ、山田楓が左足を振り抜いたシュートは相手2人の股を抜いてゴールネットに突き刺さった。
新型コロナウイルスの影響もあり、国際経験が乏しいこの世代。今大会は海外組で招集できない選手もいた。そんな中、過密日程を考慮し、1次リーグでGK1人を除く22人を起用。選手の状態を見極め、試合日に練習から外してサポートに回らせたことも。離脱者が相次いで3位止まりだった2年前の今大会から大岩監督が描いた綿密なマネジメントは、指揮官が驚くほどの選手の成長を促し、選手層を厚くした。この日終盤に運動量で相手を上回り、最年少19歳の高井の守備を起点に途中出場の山田楓が決めたのが象徴的だった。
五輪本番に向け、年齢制限外のオーバーエージ枠や、海外組で今回不在だった選手との調整も進む。「監督が誰を選ぶか困るほど選手が出てきてくれたら、チームはもっと良くなる」と藤田。激しさを増す競争を経て、さらなる強固な集団を築きたい。
大会MVPを獲得した藤田は、「びっくりしたけど、チームとして受け取ったみたいな感じなので、みんなに感謝したい」。中盤の底で5試合に出場し、準決勝のイラク戦では2アシストと出色の働きを見せた。大会前に大岩監督から主将を任され、ピッチ内外で甲高い声を張り上げてチームを先導。「優勝できたことが第一で、自信を持ってパリにいける。優勝を目指したい」と高みを見据えた。