JAL機が2月に米空港で停止線越え、空港地図を見誤り右折せず…再発防止へ対策
日本航空機が今年2月、米サンディエゴ国際空港を出発する前に滑走路手前の停止線を許可なく越えた問題で、パイロットが同空港の地図を見誤って右折すべき地点を通過し、滑走路へ向けて走行していたことが関係者の話でわかった。日航は国土交通省の監査を受け、地図や資料に注意喚起を加えるなど複数の再発防止策を進めている。
JAL機が2月に米空港で停止線越え、空港地図を見誤り右折せず…再発防止へ対策
成田行きの日航65便は2月6日昼(現地時間)、客を乗せて駐機場を出た。パイロットは「誘導路Bを進んで『B8』で待機」との管制指示を復唱した後、誤って「B10」に入って停止線を越えた。管制官の指摘とほぼ同時に滑走路の目前で止まったが、上空で降下中の旅客機が直前で着陸をやり直した。
昨年11月にも米シアトルで日航機による滑走路誤進入があり、日航から報告を受けた国交省は2月13日、航空法に基づく立ち入り検査を抜き打ちで実施。事故や重大インシデントにつながる「安全上の支障を及ぼす事態」に当たるとし、再発防止策の提出を求めた。
複数の関係者によると、航空機が通れない 楕円(だえん) 状の非走行区域(アイランド)があるのは、滑走路の手前だけなのに、65便のパイロットは、簡略化された地図表示を見て、誘導路B手前にもアイランドがあると誤認。アイランドを「目印」にしていたパイロットは、右折して入るはずだった誘導路Bを横断し、指示になかった「B10」に入った上、停止線を越えた。
65便には3人のパイロットが搭乗していたが、雨だったこともあり、停止線やB10の標識なども見落としていた。
日航は再発を防ぐため、パイロットが使う同空港の地図や資料に「(誘導路Bの手前に)アイランドは存在しない」と追記した。さらに今後、地上走行中の誤認対策を強化するため、訓練用の事例集を充実させるなど、社内資料・規定を改める方針だ。