8年ぶり単独首位から最下位転落…中日「今年もダメかとファンため息も」逆転優勝を狙える2つの理由
ホームランを打った中田を迎える立浪監督(右)。2人の存在が今年の中日に大きく影響している
一時は8年ぶりの単独首位に立ち最大6つの貯金をするも、連敗が重なり5月4日には最下位へ転落。「今年もダメか」とファンのため息が聞こえてきそうなのが、昨季まで2年連続6位と低迷する中日だ。開幕直後の勢いは「春の珍事」で終わってしまうのか……。
だが、元中日のエース・小松辰雄氏は前向きだ。
「まだ5月ですからね。今季のセ・リーグは首位チームから最下位の差が小さい。下位に落ちたからといって悲観することはありません。Aクラス入りどころか、逆転優勝のチャンスもあると思います」
「熱い気持ちが」
中日再浮上は決して絵空事ではない。理由は2つある。まず小松氏があげるのが、巨人から移籍した中田翔の存在だ。
「打線に厚みが出ました。昨季は主砲の細川(成也)ばかりマークされましたが、中田の加入で相手投手の注意が分散した。負担が減った細川が、のびのび打てるようになったのが大きいでしょう」
中田の好影響は打線の厚みだけではない。
「中田は野手だけでなく投手陣へも気軽に声をかけ、チームをまとめています。強面のイメージがありますが、とても面倒見の良い選手なんです。日本ハム時代には地元・広島遠征する際に、よくチームメイトを実家へ招いていた。巨人でも後輩の秋広(優人)と自主トレをともにして熱心に指導し、ブレイクのキッカケを作りましたからね。
中日に入団してからも周囲を気遣う姿勢は変わりません。食事会を開いたエースの柳(裕也)は、若手投手へ打者心理を丁寧に説明する中田の姿に『熱い気持ちが伝わってきた』と感激していたそうです。今後チーム状態がさらに落ちることもあるでしょう。しかし兄貴分の中田がいれば選手たちを鼓舞してくれるでしょうし、逆境をはねのけられると思います」(球団関係者)
中日逆転Vの2つ目の理由が、立浪和義監督の「豹変」だ。
「就任3年目を迎え気持ちに余裕が出てきたのか、笑顔が多くなりました。昨季まではミスした選手に、厳しい表情でキツく叱責する場面が目立った。2年連続の最下位で『結果を出すためにはどうしたらいいだろう』と、監督なりに考えての『変化』でしょう。ピリピリしていたチームのムードが刷新され、選手はとてもいい雰囲気でプレーしています。たとえ負けが込んでも『巻き返せる』という前向きな気持ちが伝わってくる。
もともと小笠原慎之介、松葉貴大、メヒア、涌井秀章、高橋宏斗と先発陣が充実しており、リリーフ投手は盤石です。さらに中田の加入で打線が強化されました。戦力は昨季覇者の阪神や巨人と遜色ありません。今季の中日には強さを感じます。今のドラゴンズなら、本気で優勝を狙えるでしょう」(スポーツ紙担当記者)
果たして「希望的観測」で終わるのか、本当に中日は変わったのか。真価が問われるシーズン中盤が始まる。