3補選で「黒子」に徹した共産 次期衆院選、共闘の再構築は遠く
共産党の小池晃書記局長
次期衆院選に向けて野党共闘の「再構築」を目指す共産党が、立憲民主党への圧力を強めている。先の衆院3補欠選挙では、共産は自らの擁立予定者を降ろすなどして立民の全勝に貢献した。共産は今回は例外的な対応だったと位置づけ、次期衆院選には相互的な支援態勢で臨むことを目指す。ただ、立民側としては、最大の支援組織である連合は共産との選挙協力を否定している手前、表立って連携にかじを切ることは難しいのが実情だ。
「候補者の一本化に党が果たした役割は大きかった。非常に重要な成果だ」
共産の小池晃書記局長は30日の記者会見で、3補選の成果をこう強調した。立民側から「さまざまなチャンネルで感謝の意が伝えられている」とも明かした。
ただし、これからも「黒子」に徹し続ける気は毛頭ない。補選は「あくまで限定的な対応だ」と説明した小池氏は、次期衆院選では「対等・平等」「相互尊重」が必須になるとの認識を示し、「共産党だけが降ろすという対応では、なかなか難しい」と指摘した。
国政選挙で、共産を含む枠組みでの野党間の候補者調整が始まったのは平成28年の参院選にさかのぼる。8年が経過しようとする今も「対等・平等」の関係が実現しない背景には、立民やその前身の政党が、安全保障政策などに関し共産と溝を抱えているという事情がある。
これまでの候補者調整の際は、野党共闘を支援する「市民連合」の政策提言に各党党首が署名し、共通政策と位置づけてきた。立民などにとって、共産との「直接協力」を回避しつつ候補のすみ分けを図ることができるやり方は好都合な協力形式だったわけだ。
立民が「対等・平等」の関係に踏み込もうとすれば、連合は間違いなく待ったをかける。連合は、次期衆院選の基本方針に、共産を念頭に置いて「異なる社会の実現を目的に掲げる政党から支援を受ける候補者は推薦できない」との文言を盛り込んでいる。今回の補選では、立民の野田佳彦元首相と共産の小池氏が東京15区で一緒に街頭に立ち、連合の芳野友子会長から「非常に残念だし、容認できない」と批判を受けた。
立民重鎮は「連合の方針を守りつつ、接戦区では『阿吽(あうん)の呼吸』で共産とすみ分けたい」と語り、共産が前面に立つ展開となることを懸念する。「相互主義的」(小池氏)な関係構築へのハードルは高い。(松本学)