芸能プロ倒産、前年比3倍の12件 ユーチューバー台頭、タレントへの影響力低下が背景か
帝国データバンクが調査した、芸能プロダクションの倒産件数の推移
帝国データバンクは、タレントらのマネジメントなどを行う芸能プロダクションの2023年の倒産が、前年比で3倍にあたる12件になったと発表した。過去5年間では最多となった。要因として、新型コロナウイルス禍の影響のほか、ユーチューバーなどとして活躍する個人が増えるなど、プロダクションの強みが生かしにくくなっていると分析した。
帝国データバンクによると、19~22年の倒産件数はそれぞれ、6件、5件、7件、4件とひと桁で推移。20年からのコロナ禍の期間では国からの支援金などで、事業継続を下支えしたとみられる。
一方で23年はそうした支援も縮小。さらに、SNSの浸透などでユーチューバーやインフルエンサーら個人が人気を博すケースが増加し、芸能プロダクションが得意としてきた「新人発掘」が滞った。今後の稼ぎ頭になるような原石を見つけることが、より難しくなった。
スポンサー企業による広告宣伝費の分配先もテレビ局だけではなくなり、テレビの番組製作費が減少。出演タレントを抱える芸能プロダクションの経営も圧迫した可能性がある。
芸能プロダクションの在り方を巡っては、「SMILE―UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)」創業者の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題が発覚。タレントへの過度な干渉は控えるべきとの風潮が強まっており、結果的に独立を選択するタレントも目立ってきたという。
帝国データバンクは、「良くも悪くも、プロダクションのタレントに対する影響力が低下している。一方で、税務関連の適切な処理などには依然強みもあり、今後はそうした法律的な観点から、各自が存在意義を高めていく必要があるのではないか」としている。