自民現職ら85人の「追徴税額」試算 5年間で1.3億円 全商連
自民党現職議員ら85人への税務調査を求める要請書を国税庁の担当者に提出した全国商工団体連合会の岡崎民人事務局長(手前右)=東京都千代田区の衆院第1議員会館で2024年2月26日午後3時39分、中島昭浩撮影
全国商工団体連合会(全商連)は26日、国税庁に対し、自民党派閥の政治資金パーティー券収入の還流などを受けていた同党現職議員ら85人への税務調査の実施を要請した。同日記者会見した全商連の岡崎民人事務局長は「脱税の疑いがある。税務行政の中立性を持ちだし、使途も示さないまま納税しない政治家を野放しにするなら、信頼は失われ、(事業者の)納税意欲にも悪影響が及びかねない」と訴えた。
自民党が13日に公表した調査結果では、85人が受けた還流分などの総額は、5年間で計約5億8000万円。これを基に全商連が所得控除を考慮せずに試算した「追徴税額」は、約1億3500万円に上った。要請にはこの試算も添付し、国税庁が受け付けている「課税・徴収漏れに関する情報」として情報提供した。
要請書を受け取った国税庁の担当者は「一般論としては、さまざまな機会を捉えて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料情報と提出された申告書などを分析し、課税上問題があると認められた場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めることとしている」と述べた。
鈴木俊一財務相は国会で、国税庁への調査指示を否定する答弁を繰り返している。「税務行政の中立性の確保」「歴代財務相の中での不文律」が理由だが、ネット交流サービス(SNS)では「#確定申告ボイコット」が登場するなど、税務当局への反発は増幅し続けている。
会見に同席した税理士の浦野広明・立正大学法制研究所特別研究員は「長年にわたる裏金問題を放置していた国税庁の不作為、怠慢は非常に問題だ」と指摘。「今回の裏金を得るために必要経費は掛かっていない。ポケットに入れた金額は全部課税対象だ」として厳正な税務調査の実施を求めた。【中島昭浩】