自民、還流資金分の納税検討…「脱税」批判踏まえ所得税など想定
衆院予算委員会で答弁する岸田首相(14日)
自民党は、派閥の政治資金パーティー収入のキックバック(還流)分などを政治資金収支報告書に記載していなかった議員に対し、使途不明などの場合には課税対象として税を納付させる案の検討に入った。所得税などを想定している。国会審議で「脱税の疑いがある」などの批判が出ていることを踏まえたもので、国民の政治不信の払拭(ふっしょく)につなげる狙いもある。
複数の自民関係者が明らかにした。政治団体が寄付やパーティーで集めた政治資金は、政治活動の公益性を重視し、原則、非課税となっている。今回は不記載分に関して、政治活動に使用したのかどうか、具体的な使い道を説明できていない議員が多い。このため、野党などが、議員個人の「雑所得」とみなし、所得税の課税対象とすべきだと主張している。
14日の衆院予算委員会の集中審議では、自民の上野賢一郎衆院議員が、「仮に個人的に使われていた場合や、支出の事実が確認されない場合は、個人の所得として課税されるべきだ」と訴えた。岸田首相(自民党総裁)に対し、「党として早急な修正申告を指示し、納税させる対応が必要だ」とも要求した。今後、党内で具体的な納税方法などの検討が進むとみられる。
自民派閥の政治資金規正法違反事件を巡っては、党のアンケート調査で、議員ら85人に、2018~22年の収支報告書で総額約5・8億円の収入の記載漏れがあったことが明らかになっている。