能登地震4か月、海底隆起を利用して国道迂回路…「公費解体」着手わずか0・4%
(写真:読売新聞)
能登半島地震の発生から1日で4か月がたった。被災地の石川県では、住宅の全半壊が約2万3800棟に及んだが、これらの撤去は思うように進んでいない。所有者に代わって自治体が解体・撤去する「公費解体」で、これまでに着手できたのは申請の0・4%にとどまる。県は今月から、5人程度の解体事業者でつくる班を500~600班編成し、作業のペースを加速させる方針だ。
公費解体は同県の16市町で進められている。県によると、4月22日現在で申請は計8528棟を数えるが、着手できたのは34棟とわずかだ。完了したのは9棟だけで、倒壊による二次被害を避けるための緊急解体と合わせても88棟だ。
1日午前、同県穴水町の住宅街には屋根瓦を詰め込んだ袋を重機でトラックに移す作業が行われていた。一方、隣接する輪島市では申請のあった現場の作業は手つかずのまま。同市内の自宅が中規模半壊と認定された男性(63)は近く公費解体を申請する予定だが、片付けがいつ始まるかは見通せない。同じ場所での建て替えを目指しているため、「早く解体をしてもらえたら助かる」と話す。
県が想定する公費解体の総数は2万2000棟に上る。申請の受理から解体着手までには、自治体職員らによる現地調査や住民の立ち会いが必要で、手続きの調整などがネックとなっている。県はこうした課題の解消を進め、来年10月の完了を目指している。
■寸断された国道、迂回路で開通へ
能登半島の大動脈である国道249号は地震による土砂崩れで寸断されたが、このうち石川県輪島市野田町の海岸沿いの区間で復旧作業が終わり、2日正午に開通する。地震による海底の隆起を利用して迂回(うかい)路を造成した。
国土交通省能登復興事務所によると、土砂崩れの現場は復旧のめどが立たず、幅が100メートル以上ある隆起部分に道路を整備し、仮復旧させることにした。工事は約800メートルの区間で進められ、このうち迂回路は約430メートル。幅5メートルの1車線で、元の国道とつなげる。
付近には国名勝の棚田「白米(しろよね)千枚田」があるが、通行できるのは当面、緊急車両や地元住民の車両のみとする。開通を控えた1日は、作業員らが路面などの最終点検を行った。同事務所は今後、拡幅を検討する。