能登の群発地震、雪が影響の可能性…地下の流体の増加が誘発との研究発表
能登半島で2020年12月から始まった群発地震の活発化に、雪が影響した可能性があるとの研究成果を、日米などの研究チームが発表した。雪と地震活動の関係を示した研究は珍しい。論文が科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
雪が降る中、輪島朝市通り周辺をパトロールする消防隊員ら(1月23日)
半島では同月から今年1月1日の能登半島地震の発生直前までに、震度1以上の地震が500回以上起きた。半島の地下に水のような流体が大量に存在し、岩盤の割れ目を滑りやすくさせて群発地震を誘発したとみられている。
チームは地震波が地中を伝わる速度に着目し、12~23年の半島の地震計データを解析したところ、夏は速く、冬は遅くなる季節変動があった。流体が多いと地震波は遅くなるため、雪が流体の増加に影響した可能性が示された。
チームはさらに、雪の重みなどが地下の圧力変化を起こし、流体の動きに影響しているとみて、コンピューターを使ったモデル解析を行った。その結果、雪の多い時期と地震の多い時期に関連性がみられた。
チームの小原一成・東京大地震研究所教授(地震学)は「流体の群発地震への影響が地震波の解析からも捉えられた」と話している。
京都大の西村卓也教授(測地学)の話 「地震波の速度変化が、雪などと関連していることがわかったのは重要な意義。ただし群発地震を起こすきっかけになったのかどうかは、さらなる検証が必要だ」