立民・泉健太代表、衆院解散訴え「白黒つける」 党勢拡大に弾みも対共産課題
28日に投開票された衆院3補欠選挙で、野党第一党の立憲民主党は全選挙区で勝利を確実にし、今後の党勢拡大に弾みをつけた。ただし、政権奪取を目指す次期衆院選に向けて、共産党とどう向き合うかという課題も改めて突きつけられた。
立民の泉健太代表は28日夜、党本部で記者団の取材に応じ、早期の衆院解散・総選挙が必要との認識を示し、「中途半端な状況に置かれている政治改革に白黒をはっきりとつけていく総選挙になる」と強調した。
与野党対決となった島根1区で当選を確実にした立民元職の亀井亜紀子氏は松江市で記者団に「保守王国といわれる島根県での結果は大きなメッセージとなって政権に届く」と語った。
補選全勝の歓喜に浸るのもつかの間。泉氏は今週半ば以降、北海道や兵庫県など各地で遊説を予定しており、その視線は既に次期衆院選へと向いている。
今回の補選での立民の戦いは堅調さが際立った。島根1区では、企業への「ローラー作戦」を繰り広げ、厚い保守地盤の切り崩しを図った。
立民が「地力」の向上に注力したことは確かだが、共産が3選挙区全てで擁立を見送った結果、非自民票分散が回避された恩恵も無視できない。
ただ、政権選択選挙である衆院選で、基本政策に隔たりがある共産と組むことはメリットばかりではない。「立憲共産党」批判で敗北に至った令和3年衆院選の二の舞いになりかねない。
立民の支援組織である連合は、共産との選挙協力を否定している。今回の東京15区補選では立民の野田佳彦元首相と共産の小池晃書記局長が一緒に街頭に立ち、連合の芳野友子会長から「非常に残念だし、容認できない」と批判を受けた。
一方、野党共闘の「再構築」を目指す共産は、政策協議を経た上での正式な選挙協力を理想とする立場だ。立民が今後、連合と共産の間で板挟みの状態に陥る可能性は高い。(松本学)