知ったら全員青ざめる…日本を襲う「巨大地震」の本当の恐怖
知ったら全員青ざめる…日本を襲う「巨大地震」の本当の恐怖
2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。
もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。
(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
西で起きる地震に弱い首都圏
高層ビルの研究を続ける名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「首都圏は、地盤の構造から、西で起きる地震で揺れやすい」として、理由を二つ挙げる。
西日本は「付加体」と呼ばれる海底生物の死骸など海の中のゴミが折り重なるようにへばりついた軟らかい地盤があるため、揺れを通しやすい。さらに首都圏が盆地のようになっていることから、日本海溝沿いの地震より、南海トラフ沿いの「西」の地震の揺れを集める特徴があるという。
超高層ビルの課題は大きく揺れた後、そのまま使用してよいのかどうかの判断が難しい点だ。長周期地震動によって建物にひびが生じたり、外壁や天井が落ちたり、配管に亀裂が入ったりするといった損傷が生じても、専門家でなければ被害の詳細を把握するのが難しい。
タワマンと呼ばれる20階以上の高層マンションは全国に1464棟(2022年末時点)ある。首都圏の1都3県に半数超が建てられ、戸数ベースでは約9割が3大都市圏に集中する(東京カンテイ調べ)。
建物の構造自体の強度を高める耐震構造、制振部材を設置して揺れを吸収する制振構造、揺れを伝えにくくする免震構造によって地震対策はなされているが、同じ地震であっても高層階になれば揺れ方は強くなる。
超高層ビルに備えられた高速エレベーターには最寄り階がないため緊急停止し、中に閉じ込められたり、避難階段が狭いため避難経路が制限されたりするリスクはあるだろう。火災発生時にどう対応するのかも含め、事前に考えておくことが重要だ。
火災報知器は電池が切れていれば作動せず、揺れで水道管の配管が壊れるとスプリンクラーが使えない。そのとき、火災が起きたらどうなるか。
1982年、地上10階建てのホテルニュージャパン(千代田区永田町)が約9時間燃え、高層階の宿泊客33人が犠牲となった火災の例を思い出してもらいたい。鳴らない火災報知器、閉じない防火戸、スプリンクラーの設置がほとんどないなど防火設備の不備が指摘された。
基本的には耐震基準で想定された揺れに対して耐えられるだけの設計がなされているものの、たとえ震度が小さくても特に高層階は大きな揺れになることがある点は覚えておくべきだろう。
また、想定を超えた揺れに対しての安全性についても設計者に確認したいところだ。日頃から家具はしっかり固定し、丈夫なテーブルなどの下に避難する経路を確認する、2023年2月から発表が始まった気象庁による長周期地震動の緊急地震速報が鳴ったら、エレベーター内にいるときは揺れの到達前にあらゆる階のボタンを押す、といった心構えと準備はしておいた方がよいと言える。
つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。