日米通算197勝目のダルビッシュが「もう一度信じて投げてみよう」と多投した変化球
レッズ戦に先発し、力投を見せるパドレスのダルビッシュ(AP)
◆米大リーグ パドレス6―4レッズ(30日・米カリフォルニア州サンディエゴ=ペトコパーク)
パドレスのダルビッシュ有投手(37)が、本拠でのレッズ戦で今季6度目の先発登板。首の張りによるIL(負傷者リスト)からの復帰マウンドとなったが、5回3安打無四球3奪三振無失点の快投で待望の今季初勝利を挙げた。白星は昨年7月29日のレンジャーズ戦以来で、節目の日米通算200勝まであと3とした。松井裕樹投手(28)は7回途中から1回2/3を完全リリーフで4ホールド目を挙げ、先輩の勝利を後押しした。
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ダルビッシュが、本来の姿を取り戻した。首の張りが回復し、16日ぶりのマウンド。若い頃の自分を支え、最近は投球の割合が減っていたスライダーを「もう一度信じて投げてみよう」と多投した。この日最大のピンチだった3回2死二、三塁では、そのスライダーで主砲デラクルスを一ゴロに封じた。4、5回も0点に抑えてベンチに戻ると、シルト監督に迎えられ、ガッチリと握手した。
日米通算197勝目は、チームの連敗を5で止める白星にもなった。「連敗を止めたことが僕の中で一番うれしい」とダルビッシュ。エースの働きを全うし、指揮官からは「ファンタスティックだった。彼は素晴らしかった。我々にはあのパフォーマンスが必要だった」と最大限の賛辞を贈られた。
調整も“原点”に立ち返った。メジャー移籍後、登板日は試合直前までグラウンドに出ないことがルーチンだったが、この日は開始約3時間半前に表に出て、軽くキャッチボールをした。日本ハム時代を思い出して取り組み「(年齢を重ねて)エンジンがかかるのも遅くなってきている。余裕を持って準備すれば解消できると思った」と説明した。
プロ20年目のシーズン。初白星まで開幕から約1か月半かかった。昨年7月29日(対レンジャーズ)の196勝目から9か月、大きな節目へ11登板ぶりに一歩、近づいた。もともと、投手の白星は自分でコントロールできないものという持論を持つ。「勝利は5回を投げ、自分が勝っている状況で降りて、追い付かれずにチームが勝てばつく、という限定的なもの。何とも言えないが、チームが勝った証拠ではあるので、そういう意味ではうれしい」と個人よりチームの“前進”と捉えた。その表情は、エースの風格にあふれていた。
◆ダルビッシュに聞く
―首の状態は。
「だいぶいい。普通の先発の日だと思って、いつも通り打者を勉強して集中して入れた」
―好投の内容は。
「制球も全体的に良かった。今日はやっぱり速いスライダー。もともとすごく投げていた球だが、去年くらいから割合が落ちていた」
―3回のピンチでデラクルスを封じた。
「(初回は三振を奪ったが)相手も自分の球を見て、2打席目で嫌な場面だった。とにかくいい球を思い切り投げる、という気持ちで向かっていけたのが良かった」
―日米通算197勝目になった。
「あと3つ、4つと考えると途方もなく感じる。どうやったらもっとうまくなれるかを考えながら、積み重ねていきたい」