岸田首相「自衛隊員に誇りを持って任務を」 自衛隊明記に意欲 阿比留委員と対談
阿比留瑠比論説委員兼政治部編集委員(左)との対談に応じる岸田文雄首相=首相官邸(酒巻俊介撮影)
岸田文雄首相(自民党総裁)は3日に憲法施行から77年となるのを前に産経新聞の阿比留瑠比論説委員兼政治部編集委員との対談に応じた。自民が改憲項目に掲げる自衛隊明記について、首相は「自衛隊違憲論に終止符を打ち、国家の自立と平和を守る意思を国際社会に示す上でも、自衛隊員に誇りを持って任務を全うしてもらうという観点からも重要な取り組みだ」と述べ、実現に重ねて強い意欲を示した。
首相は1月の能登半島地震での自衛隊の対応も踏まえ「自衛隊に対する理解はますます高まっている」と強調した。
立憲民主党や共産党が慎重・反対の憲法改正の国会発議に関し「国民に選択肢を示すことは政治の責任だ」と訴えた。その上で「憲法が国家の基本法である以上、可能な限り幅広い合意を得る努力は重要だが、国民から『責任の放棄』との誹りを受けることのないよう議論を具体化する」と語った。
憲法改正に積極的な日本維新の会や国民民主党の代表と党首会談を行い、直接協力を呼びかける可能性については「まずは現場で努力をしてもらうが、必要であれば私自身として何ができるのかを考えたい」と語った。
阿比留委員は、現行憲法が「基本的人権の尊重」を3原則の一つとしているにもかかわらず、北朝鮮による日本人拉致問題が解決していないことを「横田めぐみさんという13歳の少女の人生を守れなかった。どのように解決していくか」とただした。これに対し首相は「今の憲法の下で最大限対応しなければならない。あらゆる方策を尽くしている」と説明した。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長が相次いで談話を出すなど日本側に揺さぶりをかけていることについては「相手の真意を見極め、具体的な対応を考える。一つ一つ前進させるべく努力をしている」と述べた。
憲法1条で「国民統合の象徴」と規定される天皇を巡り、安定的な皇位継承をどのように確保していくかに関しては「先送りできない重要課題だ。国会での積極的な議論に期待したいし、自民はその議論に貢献する努力をする」と語った。