健康寿命を延ばすには「1日9000歩」、超えてもほとんど差はなし…京都府立医科大チーム分析
(写真:読売新聞)
介護などを必要とせず、自立した生活ができる期間を表す「健康寿命」を延ばすために目標となる歩数は1日9000歩だと、京都府立医科大の西真宏助教(循環器内科学)らのチームが発表した。2019年に行われた国の健康や医療に関する二つの調査データを解析し、論文が国際医学誌に掲載された。
チームは、精神疾患や腰痛、骨折などの病気やけがの有無と生活への影響などをまとめた「国民生活基礎調査」と、歩数などを聞いた「国民健康・栄養調査」の両方に回答した成人男女約5000人分のデータを抽出して解析し、健康寿命と歩数の関連を調べた。
その結果、1日9000歩までは、歩数が増えるにつれて効果が明確に高まるが、超えるとほとんど差が出なかった。年齢や男女による差はなかったという。
厚生労働省が今年1月に公表した指針では成人で1日8000歩以上を推奨しているが、死亡リスクなどとの関連を調べた研究成果に基づくものだった。
チームは、今回の研究成果を新たな目標値として提唱する。西助教は「9000歩を達成すれば別のことに時間を注ぐことができ、効率よく健康な生活を目指せる」と話す。
国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」の小野玲・身体活動研究部長の話「意義のある研究だ。目標値を一つの目安にして、筋トレなどに取り組むことも意識してほしい」