佐藤優氏 政府のナワリヌイ氏獄中死についての対応に「岸田総理がしっかりしています」と分析
「東京大地塾」で講演した佐藤優氏
元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が21日に国会内で開かれた「東京大地塾」(鈴木宗男代表)で講演。ロシアのプーチン大統領の汚職を追及した反体制指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡について言及した。
佐藤氏は16日に獄中で死亡したナワリヌイ氏に関し「(ロシアの)ヤマロ・ネネツにいた。これからロシア当局が発表すると思うんだけども、脳血栓で死んだと。これはやっぱり人道上は問題だと思う。政治犯にはそれなりの処遇をしなくてはならないわけで、懲罰的な形での拘束。3年も4年もいたら明らかに死ぬ可能性が高い場所に入れていた。やるべきではないと思うし、ロシアはもう少し大人の態度をしたらどうなのかということで、私は本件については批判的です」と語った。
先週17日にドイツ南部ミュンヘンで開かれた先進7か国(G7)外相会議では、議長国のイタリアのタヤーニ外相が声明で、ロシア当局に対してナワリヌイ氏が死亡した状況を解明するように求めた。
「『プーチン大統領が殺した』だとかいう話がある。ロシア人の標準的な感覚としてナワリヌイ氏は、政治プレーヤーではない。西側諸国が作っている虚像です。そういう人を殺してもなんの得もないと。それが大変だとG7で騒いで、ロシアに圧力をかけてる。ロシア大統領を侮辱していると、ロシア人はなる。だから大統領を守らないということになって、こういうことで騒がれると、プーチン氏の権力基盤は強くなる」(佐藤氏)
林芳正官房長官はナワリヌイ氏が収監死したことに「政府として重大な関心を持って注視していく」と述べた上で、引き続きG7と連携し対応する考えを示している。
「日本政府、林官房長官は極めて賢明です。(ナワリヌイ氏の死亡は)プーチン大統領に責任があると、バイデン大統領は言っている。日本政府は確たる証拠はわかっていないんだと、本件についてはコメントを差し控えている。これは一貫しています。常識的なコメントなんだけれども、いまG7でこういう冷静な判断ができる国家は日本だけです。私は日本を誇っていいと思います。岸田総理はそこのところがしっかりしています。事実でないことを臆測で言うのはよくないと思います」と佐藤氏は語った。