一生に一度は観ておきたい、史上最高の映画三部作 15
『スター・ウォーズ』より。
- 三部作は、何十年も前から存在するストーリー作りの1つだ。明確な起承転結がある。
- 大半の三部作が何億ドルと稼ぎ出すとはいえ、全ての三部作が同じように作られているわけではない。
- 『ロード・オブ・ザ・リング』や『裸の銃を持つ男』も史上最高の三部作だ。
続編や過去を描く続編、リメイク、リブート、レガシー作品の続編はいくらでもある。ただ、三部作は少し特別だ。
こうした三部作の中には、何十億ドルという興行収入が見込めたから”3本の映画”になったものもあるだろう —— 例えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』三部作は、全世界で24億ドルの興行収入をあげた —— が、こうした物語の多くは単純に1本の映画では語り尽くせなかったのだ。
『ロード・オブ・ザ・リング』が1作目で終わってしまったり、『スター・ウォーズ』が『帝国の逆襲』も『ジェダイの帰還』もないまま終わることを想像してみてほしい。映画ファンにとっては悲劇だろう。
ハリウッド史上最高の三部作をいくつか紹介しよう。
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(2001~2003年)
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』より。
J・R・R・トールキンの小説を原作としたピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』三部作に匹敵するような作品はない。いずれも全てニュージーランドで立て続けに撮影され、俳優とクリエイティブ・チームはこのファンタジーの世界にどっぷりと浸ることができた。
そして、中つ国とは何という世界なのだろう。そこには美しい風景、フロド、ガンダルフ、サルマン、ゴラムといった魅力的なヒーローと悪役、そして小さなホビットが世界最強の悪に勝利するという感動的な物語がある。
4時間にも及ぶ特別版もあって、人々に純粋に愛されている三部作は、このリストに入るべき作品だ。ちなみに、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作はいずれもアカデミー賞作品賞にノミネートされ、2004年には3作目にして最終作の『王の帰還』が作品賞など11部門を受賞している。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作(1985~1990年)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』より。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作は、1980年代から1990年代にかけてまさに”現象”となった。ちなみに10月21日は毎年、マイケル・J・フォックス演じる主人公マーティがタイムスリップをした日として祝われている。
この映画はフォックスを大スターにしただけでなく、マーティの親友で変わり者の原子物理学者エメット・ブラウン(ドク)を演じたクリストファー・ロイドを新しい世代に紹介し、人々に空飛ぶスケートボードや自動で靴紐が結べるスニーカーに憧れを抱かせた。
現実世界はまだ『バック・トゥ・ザ・フューチャー 2』で見たようなテクノロジーのレベルには達していないが、マーティが両親の生活を向上させ、ドクを早すぎる死から救い、最終的に西部開拓時代から家に帰ろうとするこの物語の魅力は永遠だ。
ちなみに、現在ブロードウェイではミュージカル版が上演されている。
『裸の銃を持つ男』三部作(1988~1994年)
『裸の銃を持つ男』より。
映画『フライングハイ』(1980年)が大ヒットした後、レスリー・ニールセンは『裸の銃を持つ男』で再び”人々によく知られた職業”を演じた。刑事だ。『裸の銃を持つ男』とその続編がなければ、『リノ911!』や『ブルックリン・ナイン-ナイン』も、映画『オースティン・パワーズ』も生まれなかったかもしれない。
ドレビン警部補は大人気で、34年後の2022年10月にDeadlineが報じた『裸の銃を持つ男』のリブート版では、リーアム・ニーソンが主演に抜擢された。
『名無しの男』三部作(1964~1966年)
『荒野の用心棒』より。
興味深いことに、この三部作は映画が公開されてから”三部作”になった。
これらのマカロニ・ウェスタンは最初にイタリアで公開された。ユナイテッド・アーティスツが配給権を獲得すると、同スタジオは『荒野の用心棒』(1964年)『夕陽のガンマン』(1965年)『続・夕陽のガンマン』(1966年)をクリント・イーストウッド主演の『名無しの男』(登場人物の名前はそれぞれ違うが)三部作としてセット売りすることにした。
ただ、この三部作はイーストウッドを映画ファンに紹介し、ハリウッドを永遠に変えた。
セルジオ・レオーネ監督の美学は『マンダロリアン』といったヒット作を含め、数え切れないほどの映画やテレビドラマに影響を与えてきた。そしてもちろん、エンニオ・モリコーネの『続・夕陽のガンマン』のテーマは今でも最もよく知られている映画音楽の1つだ。
『ダークナイト』三部作(2005~2012年)
『ダークナイト』より。
2005年にクリスチャン・ベールがバットマンを演じた時、この映画が大成功するかどうかは分からなかった。もちろん、その続編がスーパーヒーロー作品として初めてアカデミー賞を受賞する(『ダークナイト』のジョーカー役でヒース・レジャーが受賞)こともだ。
おそらく『ダークナイト』(とその前後の2作品)は”コミック原作のスーパーヒーロー作品”というジャンルを永遠に変え、このジャンルを今日のように興行的に最も重要なジャンルにし、その気骨ある、暗い雰囲気ものちに多くの映画が採用するようになった。
この三部作の結末に全員が100%満足していなかったとしても、3作目の『ダークナイト・ライジング』は興行的に大成功を収め、公開から12年が経った現在では、シリーズ最後を飾る作品として印象的な作品の1つとなっている。
『スパイダーマン』三部作(2002~2007年)
『スパイダーマン2』より。
2002年の『スパイダーマン』とその続編2作は、1960年代のスタン・リーとスティーブ・ディッコの原作コミックからそのまま飛び出してきたような作品だった。トビー・マグワイアは、原作で描かれたピーター・パーカーに不気味なほど似ていた。
『スパイダーマン3』が前作、前々作に及ばなかったとしても、『スパイダーマン』と『スパイダーマン2』は史上最高のコミック原作映画だ。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』三部作(2014~2023年)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の三部作の中で唯一このリストに入ったのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』だ。2014年に1作目が公開された際の期待は高くなかった。スター・ロード、ガモーラ、あらいぐまのロケット、ドラックス、グルートは決して”愛されキャラ”ではなかったし、ジェームズ・ガン監督はこの規模の作品をこれまで指揮したことがなかった。
ありがたいことに、それが新鮮だった。サウンドトラックは素晴らしく、キャラクターは愛すべき陽気な性格で、見た目はMCUの他の作品とは全く異なっていた。
2作目の『リミックス』(2017年)ではマンティスが加わり、ネビュラが正式にチームに迎えられた。
ガン監督は2023年に公開された『VOLUME 3』が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の最後の作品になると明言した。いずれもそれにふさわしいほろ苦い結末だった。
『スター・ウォーズ』三部作(1977~1983年)
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』より。
しかし、ポップカルチャー史上最も重要な三部作は、間違いなくジョージ・ルーカスのオリジナル『スター・ウォーズ』三部作 —— 『新たなる希望』『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』 —— だ。
公開から40年以上経った今でも、わたしたちはDisney+のドラマ、複数のアニメ、続編など新しい『スター・ウォーズ』コンテンツを手に入れ続けている。
ただ、『スター・ウォーズ』の世界はまだまだ広がっているとはいえ、最初の三部作は誰もが共感できる、比較的シンプルな物語 —— 田舎町の少年が広い世界へ飛び出し、人生はもっと複雑かつ素晴らしいと知る —— を描いている。
あとは魅力的なキャラクター(ハン・ソロ、レイア姫、オビ=ワン・ケノービ)と象徴的な恐ろしい悪役(ダース・ベイダー)を加えれば、史上最も影響力があって、人々に愛されている3本の映画が完成する。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』三部作(1968~1985年)
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』より。
この三部作以前にもホラー映画はあったが、1968年に公開された『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』ほど素晴らしい作品はなかった。
1作目は現代初のゾンビ映画と考えられているだけでなく、最高のホラー映画の1つであり、史上最も影響力のある映画の1つでもある。
続く2本の続編もインディーズ映画のレジェンド、ジョージ・A・ロメロが監督を務め、シリーズを継続した。
『ゴッドファーザー』三部作(1972~1990年)
『ゴッドファーザー』より。
三部作でアカデミー賞の作品賞に3本全てノミネートされるというのは、そうそうあることではない(『ゴッドファーザー』以外では『ロード・オブ・ザ・リング』三部作くらいだろう)。しかも、『ゴッドファーザー』は最初の1作目と2作目で2度、作品賞を受賞している。
このイタリア系アメリカ人マフィアの物語には、マーロン・ブランドやアル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ダイアン・キートン、ジェームズ・カーン、ロバート・デュバル、アンディ・ガルシアなど史上最高のキャストが集結していて、『スカーフェイス』から『グッドフェローズ』『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『Mob Wives』まで、今日まで続いているポップカルチャーにおけるマフィア/組織ブームの火付け役となった。
『インディ・ジョーンズ』三部作(1984~1989年)
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』より。
『インディ・ジョーンズ』オリジナル三部作 —— 『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(1981年)、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989年) —— は公開から40年以上が経った今でも手に汗握る冒険映画だ。
『スター・ウォーズ』での成功の後、ハリソン・フォードはその生みの親ジョージ・ルーカス、そして他ならぬスティーブン・スピルバーグと再び手を組み、最も象徴的なヒーローの1人をスクリーンに登場させた。考古学教授で超人並みの戦闘能力を備えたインディ・ジョーンズだ。
ちなみに、2008年の『クリスタル・スカルの王国』についてはあまり語らない方がいいし、2023年の『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は良かったけれど、不可欠ではない。
『ヒックとドラゴン』三部作(2010~2019年)
『ヒックとドラゴン』より。
ドリームワークス・アニメーションの『ヒックとドラゴン』は、少年ヒックが猛獣として恐れられているドラゴンが見かけとは違うことを知る物語に焦点を当てている。
ちなみに、この三部作の音楽はTikTokでミームになったほど荘厳なものだ。
『ビフォア』三部作(1995~2013年)
『恋人までの距離』より。
『ビフォア』三部作 —— 『恋人までの距離』(1995年)、『ビフォア・サンセット』(2004年)、『ビフォア・ミッドナイト』(2013年) —— は9年ごとに同じカップルを描いている。
ジェシーとセリーヌの物語は1995年、見知らぬ2人がブダペスト行きの列車で出会い、時間つぶしにウィーンの街を散策することから始まる。
この映画の台詞の多くは主演の2人が共同で書いたもので、イーサン・ホークとジュリー・デルピーの会話はより親しみやすく、見ごたえのあるものになっている。
2人は9年後の『ビフォア・サンセット』と、さらにその9年後の『ビフォア・ミッドナイト』で再会する。
『死霊のはらわた』三部作(1981~1992年)
『死霊のはらわた』より。
『死霊のはらわた』三部作は、Screen Rantといったメディアが史上最も影響力のあるホラー/コメディー映画の1つに挙げている。監督はサム・ライミ、主演はブルース・キャンベルだ。
ゾンビものの三部作『死霊のはらわた』とその続編2本(1本が続編、もう1本はリメイク/リブートか…)はこのジャンルの定番であるブラックユーモアとホラーのバランスが完璧で、『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『レディ・オア・ノット』『スクリーム』そして『ゲット・アウト』への道を開いた。
「復讐」三部作(2002~2005年)
『オールド・ボーイ』より。
「復讐」三部作は、同じ登場人物が登場する三部作ではなく、復讐と報復というテーマでつながっている三部作だ。
韓国のパク・チャヌク監督は当初、『復讐者に憐れみを』(2002年)、『オールド・ボーイ』(2003年)、『親切なクムジャさん』(2005年)を三部作とは考えていなかったが、それぞれの作品が同じようなテーマを扱っていることは明らかで、いずれも自分を不当に扱った相手に復讐することに執念を燃やす人物に焦点を当てた作品だ。
ただし、この三部作は気の弱い人向けではない。示唆に富み、不穏で、素晴らしい演技だけれど。