ロシア軍がドネツク州で攻勢、米支援が届く前に占領地拡大を図ったか
27日、ウクライナ東部ハルキウで、ロシアのミサイル攻撃を受けて陥没した病院の庭で作業する人々=AFP時事
ウクライナを侵略するロシア軍が東部ドネツク州で攻勢を強めている。再開が決まった米国の軍事支援が前線のウクライナ軍に届く前に、占領地の拡大を図っているとみられる。
英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」によると、ウクライナ軍報道官は27日、露軍が2月に制圧したドネツク州アウディーイウカの北西約15キロ・メートルにある村オチェレティネの一部を占拠したと認めた。報道官は「敵軍を押し返す措置が取られている」と強調した。露軍はウクライナ軍の3倍の兵力を投入しているという。米政策研究機関「戦争研究所」は27日、今後数週間で同州で露軍が相当程度、前進する可能性が高いと指摘した。
露軍は27日、ウクライナ各地にミサイル攻撃を行った。ウクライナ軍は34発のミサイルのうち21発を撃墜したが、キーウ・インディペンデントなどによると、東部ドニプロペトロウシク州、西部のリビウ州、イバノ・フランキウシク州などのエネルギー施設で被害が出た。ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKも四つの火力発電所が大きな損傷を受けた。同社は露軍の攻撃で3月に火力発電能力の8割を失っており、電力事情がさらに悪化する可能性がある。リビウ州知事は、住民に節電を呼びかけたという。
ロイター通信などによると、ウクライナ軍も露南部クラスノダール地方の軍用飛行場や複数の製油所に無人機攻撃を行った。一部の製油所では火災が発生し、施設の稼働が中断した。