フジコ・へミングさん死去…数奇な人生が注目され「奇蹟のカンパネラ」が異例の大ヒット
フジコ・ヘミングさん(2021年3月)
テレビ出演をきっかけに「奇跡のピアニスト」として人気を集めたフジコ・へミング(本名・ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ)さんが4月21日、膵臓(すいぞう)がんで死去した。フジコ・ヘミング財団の発表によると92歳だった。葬儀は近親者で済ませた。後日お別れの会を開く予定。
父のスウェーデン人建築家と日本人ピアニストの母の間にベルリンで生まれ、1930年代半ばに5歳で帰国。母からピアノの手ほどきを受け、東京芸術大を卒業後、ベルリン音楽大(現ベルリン芸術大)へ留学した。
卒業後も欧州で演奏活動を続けたが、かぜが原因で一時両耳の聴力を失い、活動を中断。後に左耳の聴力は一部回復し、ストックホルムでピアノ教師を長年続けた。
95年、母の死を機に60代半ばで日本に帰国。再起を懸けたリサイタルや数奇な人生を取材したNHKのドキュメンタリー番組が99年に放送されると大きな反響を呼び、同年発売されたデビューアルバム「奇蹟(きせき)のカンパネラ」はクラシック音楽では異例の大ヒットを記録した。
その後、本格的なコンサート活動を始め、海外の有名オーケストラともたびたび共演。多くの録音を行ったほか、半生を描いたテレビ番組やドキュメンタリー映画も作られた。また、動物愛護活動などに熱心に取り組んだ。
昨年11月に自宅で転倒し、コンサートをキャンセル。リハビリを続けていたが、今年3月に膵臓がんと診断され、療養中だった。