ジョージアで「反スパイ法案」巡り再び抗議デモ 「ロシア化」を危惧 治安部隊と衝突
欧州連合(EU)加盟を目指す旧ソ連構成国、ジョージア(グルジア)の議会で4月30日、スパイ活動の抑止を名目とした「外国の影響の透明性に関する法案」の第2読会(3段階審議の2番目)が始まった。首都トビリシでは同日、法案に反対する国民が第1読会の際に続いて抗議デモを実施。治安部隊が放水や催涙ガスを使った鎮圧に乗り出した。タス通信などが伝えた。
SNS(交流サイト)には、治安部隊がデモ隊に暴力を振るう様子を撮影したとする動画が投稿された。
法案は、外国から資金提供を受けて活動する団体を事実上のスパイとみなして当局への財務報告を義務付け、違反した場合は2万5千ラリ(約147万円)の罰金を科すとする内容。4月上旬にコバヒゼ政権の与党「ジョージアの夢」が議会に提出していた。
ただ、類似の法律「外国の代理人法」が施行されているロシアでは、プーチン政権側が反体制派勢力や人権団体、独立系メディアなどを弾圧するための道具として同法を活用。ジョージアの法案に対しては、米国やEUも「人権侵害や言論の自由の悪化につながる」と可決に反対している。
このためデモ隊は、与党がロシアのように法律を恣意(しい)的に運用し、政治弾圧に使う恐れがあると反発。「EU加盟が遠のく」とも主張してきた。
一方、与党は「法案は外国勢力の活動を監視するために不可欠で、EUとジョージアをむしろ近づける」と反論。欧米の批判やデモ隊の主張には根拠がないとして法案を断固成立させる構えで、4月17日の第1読会で法案を可決した。
ジョージアの夢は親欧米派政党だが、ロシアとの対立回避も重視。野党勢力からは「親露的」「強権的」だと批判されてきた。