カブス首脳陣が明かした5連勝発進今永昇太獲得の裏側 「日本以上にこっちで活躍できると思っていた」
5連勝したカブス・今永昇太投手(AP)
◆米大リーグ メッツ0―1カブス(1日・米ニューヨーク州フラッシング=シティフィールド)
カブス・今永昇太投手(30)が1日(日本時間2日)、敵地・メッツ戦に先発した。初の中4日ながら、7回87球を投げて3安打無失点、7奪三振の好投を見せて、5勝目をつかんだ。開幕から先発で無傷5連勝は、日本人では6連勝した2002年石井一久(ドジャース)、14年田中将大(ヤンキース)に続き、3人目の快挙となった。
今永は昨オフ、DeNAからポスティングシステムを行使。4年総額5300万ドル(約77億4000万円=契約発表時のレート)の大型契約でカブス入りすると、開幕から圧巻の活躍を見せて、カブスの19勝12敗という快進撃を支えている。
カブスのホイヤー編成部長はこの日、快進撃を続ける今永の獲得背景について言及。NPB各球団に設置された弾道測定器「トラックマン」、導入が進む動作分析システム「ホークアイ」などのハイテク機器が、リスクを伴う大型契約提示の根拠になったと語り、大リーグの公式球が試合球として使用された昨年3月WBCで収集したデータが、大型契約オファーを後押ししたと明かした。
「我々が最も自信を持ったのは、彼の直球のクオリティーだ。それが、調査の段階で目を引き、獲得に繋がった。今は、まさに我々が期待した通りのことが起きている。我々は、彼が日本以上にこっち(メジャー)で活躍できると思っていた」
最大の理由は、日本より高めに広い傾向があるとされるストライクゾーンの微妙な違いだ。ホップ成分の高い今永の直球が、メジャーでより生きるという読みがあり、高さを利用して、スプリットとの組み合わせも一層、効果を発揮するというもくろみもあった。「もちろん、彼がそれを上手く使いこなしているからだ。まるで、Halo Game(銃で標的を狙うビデオゲーム)みたいに、高めの直球と、低めのスプリットを使い分けている」。ホイヤー編成部長は、高低差を使う今永の投球がメジャーにマッチしているとみている。
「誠也(鈴木)の場合もそうだが、(日本の分析システムの普及で)、日本選手の評価は、より推定しやすくなっていると言えると思う」
また、同編成部長が、大きな判断材料として挙げたのは、今永が決勝の米国戦など3試合に登板した昨年3月のWBC。「同大会中に収集した情報は、我々(メジャー)の公式球を使ったものなので、特に参考になった。(日本のボールとは違う)正確な回転数や球筋を知り得る情報だったので、サンプル数は少ないとはいえ、有益だった」と述べた。大型投資の背景には、データに基づいた勝算があった。